米小売大手REI Co-op(REI)は2月21日、取扱商品メーカーに対し遵守を求める「製品インパクト基準」を新たに発表した。気候変動やPFAS(パーフルオロアルキル物質及びポリフルオロアルキル化合物)に関する基準を大幅に強化した。同社の取扱ブランド1,000以上全てが遵守の対象となる。
同社は、ブランド企業向けの基準「製品インパクト基準」を2018年に初めて策定し、2020年に改訂。今回2回目の改訂となる。ブランド企業と協議し、今回も改訂した。同社では、年間売上38億米ドルを超えるブランド企業が、サステナビリティ・アクションをREIに回答。400社以上が製品インパクト基準での必須事項だけでなく、推奨事項をも遵守していることが明らかとなっている。さらに、年間売上70%以上を占める300社以上が、二酸化炭素排出量の削減目標を設定している。
今回の改訂では、まず、気候変動に関しては、年間販売量の55%以上を占めるブランド企業に対し、2025年までに科学的根拠に基づく削減目標の設定を求める。REIとしてはすでに2022年に科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)からの承認を獲得済み。今後REIは、ワークショップ開催、ガイダンス文書の発行、アウトドア業界団体Outdoor Industry Association(OIA)の「Climate Action Corps」とのパートナーシップ等を通じ、ブランド企業の目標達成をアシストする。
PFASでは、全米各州で相次ぐ州法を含めた最先端の業界慣行を確保するため、PFAS使用の段階的廃止を求める。同社は現行基準でも、長鎖PFASの使用を禁止するとともに、スキー関連製品やワックスではPFAS全体の使用を禁止していたが、今回は新たに全ての繊維系製品や調理器具でのPFASの全面禁止を盛り込んだ。遵守期限は、カリフォルニア州法での禁止対象製品は2024年秋までに、その他の製品は2026年秋まで。
さらに顧客インクルージョンの一環として、各種のマイノリティに関連する製品デザイン、パターン、フォーム、素材、文字等での公平性確保も求めた。 PFASに関しては、カリフォルニア州司法長官が2022年11月、PFASが有害化学物質と知りながら生産を続けたとして、製造メーカーの3M、デュポン、クラリアント、AGCの米国法人等18社を提訴。州全体の飲料水と廃水システムのPFAS処理費用の損害賠償を求めている。他の州でも同様の訴訟が相次いでいる。3Mは2022年12月、2025年までにPFAS製造から撤退し、製品全体でPFASの使用を禁止することも発表している。
【参照ページ】REI Co-op Raises Bar for Companies Operating in Outdoor Industry: Releases New Product Standards for its 1,000+ Brand Partners to Advance Social and Environmental Practices 【参照ページ】California sues manufacturers like 3M and DuPont over toxic ‘forever chemicals’ 【参照ページ】3M to Exit PFAS Manufacturing by the End of 2025