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【イギリス】プラ包装拡大生産者責任強化。小売や食品会社の負担増。プラ包装税も

 英環境・食糧・農村地域省は7月31日、2015年の使い捨てレジ袋の有料化以降、使い捨てレジ袋の使用量が全体で98%以上減少したと発表した。

 英国では、2015年に使い捨てレジ袋に対し、小売大手のみを対象に5ペンスの有料化が義務化され、その後、小売全てに導入が拡大された後、金額も10ペンスに引き上げられた。

 今回の調査では、英小売大手マークス&スペンサー、セインズベリー、テスコ、ウェイトローズ、アスダ、モリソンズ、Co-opでの使用量報告を受け、発表された。2014年時点で76億枚が消費されていたが、2021年度には1億9,700万枚から2022年度には1億3,300万枚にまで減少。英イングランド地方では、使い捨てレジ袋の枚数は年間2枚にまで減少した。レジ袋からの売上は、社会的活動に寄付することが奨励されており、実際に小売大手は2億600万ポンド(約370億円)を社会的活動に寄付している。

 英国では、容器・包装に関する拡大生産者責任(EPR)制度が1997年に開始。同制度では、容器・包装の最終処理やリサイクルに関する費用をプラスチック・パッケージ使用企業から徴収するもの。2007年には、EPR制度の一つとして「パッケージ回収ノート(PRN)」ルールが始まり、認定再処理事業者が廃パッケージ1tを回収し、リサイクルした場合にPRNが発行され、PRN購入義務を負うプラスチック・パッケージ使用企業に販売されるというスキームが運用されている。同様に海外に輸出された廃パッケージ1t毎に、認定輸出事業者が「パッケージ輸出回収ノート(PERN)を発行している。これらにより、紙、段ボール、プラスチック等のリサイクル率向上につながってきた。

 しかし、現行のPRN/PERN制度では、廃棄物管理に関する総コストの約7%しかカバーできておらず、自治体のコストが多大になっている。そこで同省は2022年4月、イングランド地方とウェールズ地方を対象に、パッケージに関する拡大生産者責任(EPR)制度の強化を発表。廃棄物管理に関する全コストをメーカー側に負担させる方針を固め、2022年11月に改正法が成立。2023年1月に施行された。(スコットランド地方と北アイルランド地方は、各自治政府が環境法を所管している)。

 新制度に基づくデータ報告制度は、すでに始まっている。収集対象は、年間売上が200万ポンド(約3.6億円)以上あり、2022年に50t以上の容器・包装材で充填や梱包を行った企業全て。例えば、食品メーカーが包装した菓子を小売企業が販売した場合はメーカー側に、小分けの菓子を小売企業が包装して販売した場合は小売企業側に報告責任が生じる。海外で包装された商品を輸入した場合は、輸入事業者に報告責任が生じる。海外で放送された商品を直接Eコマースで販売した場合は、Eコマース事業者に報告責任が生じる。

 各企業は、データ報告を半年毎に実施し、2023年1月から6月までのデータは2023年10月1日までに、2023年7月から12月までのデータは2024年4月1日までに報告しなければならない。期限を過ぎた場合、違約金が科される。

 新制度に基づく負担金徴収は、当初は2024年10月から開始する予定だったが、7月25日に2025年10月までの延期を決定。足元の物価高騰に配慮した。負担金の総額は、リサイクル等の処理コストを削減することで減額されるため、政府は産業界と協力し、制度実施コストの削減を先行して進める。

 また、英歳入関税庁は2021年7月、再生プラスチックの含有率が30%未満の容器・包装を英国内で製造もしくは英国に輸入した場合に、課税するプラスチック・パッケージ税の導入を決定。2022年4月から適用されている。税額は、再生プラスチック以外のプラスチック1t当たり210.82ポンド(約38,000円)。

 さらに、環境・食糧・農村地域省は2023年1月、使い捨てのプラスチック皿、トレイ、ボウル、食器、風船スティック、特定の種類のポリスチレン製カップや食品容器の使用を10月から禁止することも決定済み。対象は、小売店、テイクアウト店舗、食品販売店、ホテル・宿泊業。

 プラスチック汚染削減では、プラスチック汚染対策の条約制定を支持する「プラスチック汚染撲滅高野心連合(HAC)」で57ヶ国地域が、2040年までにプラスチック汚染を撲滅することを誓う閣僚声明に署名。英国政府や日本政府も署名している。

【参考】【国際】55ヶ国加盟のプラスチック汚染廃絶連合、条約制定で野心的な提案表明。日本政府は消極姿勢か(2023年5月27日)

【参照ページ】Plastic bag use falls by more than 98% after charge introduction
【参照ページ】Extended producer responsibility for packaging: who is affected and what to do
【参照ページ】Update on packaging reforms to help drive down inflation
【参照ページ】Introduction of Plastic Packaging Tax from April 2022
【参照ページ】Far-reaching ban on single-use plastics in England
【参照ページ】UK strengthens pledge to end plastic pollution by 2040

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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