国際エネルギー機関(IEA)は11月15日、エネルギー部門全体の雇用統計をまとめた報告書を発表した。同報告書は2022年に開始し、今回が2回目。
同発表は、世界のエネルギー部門の雇用統計を、地域、エネルギー、技術、バリューチェーン毎の分析したもの。世界のエネルギー部門の雇用者数は2022年に6,700万人にまで増加し、新型コロナウイルス・パンデミック前から350万人増加した。クリーンエネルギーと化石燃料に関する雇用者数の比較では、新型コロナウイルス・パンデミック後にクリーンエネルギーに関する雇用者数が化石燃料に関する雇用者数を抜き、エネルギー部門全体の半数以上を占めるようになった。
(出所)IEA
雇用増加の半分以上は、太陽光発電、風力発電、電気自動車(EV)とバッテリー、ヒートポンプ、重要鉱物採掘の5分野が占める。太陽光発電は2019年から30%増の400万人に、EVとバッテリー関連の雇用者数は2019年から約2.5倍増加し100万人以上の雇用となり、重要鉱物関連の雇用は直近3年間で18万人も増加した。国別では、中国、ヨーロッパ、中国を除くアジアでクリーンエネルギー関連の雇用が増加した。
(出所)IEA
同報告書では、エネルギー企業160社を対象に調査した結果、高技能職の不足を課題として挙げる企業が増加していると報告。電気技師、科学や工学の専門家等のエネルギー部門のジョブに関する学位や資格を取得する労働者数が需要の増加に追いついていないとした。世界のエネルギー部門の雇用の約36%が高技能職だが、労働市場全体では27%しか存在していない。化石燃料企業の中には、人材や企業戦略の柔軟性の確保のために社内でクリーンエネルギー分野のリスキリングを実施している企業もあるとした。
(出所)IEA
クリーンエネルギー分野での労働者に対する需要の増加は今後も続くと予想。IEAの「2050年ネットゼロ・エミッション・シナリオ(NZEシナリオ)」では、2030年までに3,000万人のクリーンエネルギー関連の新規雇用が創出されるとし、逆に化石燃料関連の雇用は1,300万人の雇用が失われるリスクがあるとした。エネルギー転換が多くの人々に恩恵あるものとするために、職業訓練やキャパシティ・ビルディングに重点を置く政策の展開を行い、エネルギー部門外からの人材の確保も必要だと訴えた。
【参照ページ】Clean technologies are driving job growth in the energy sector, but skills shortages are an increasing concern
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