米民間調査機関の全米産業審議会が7月1日に公表した調査報告書"Driving Revenue Growth Through Sustainable Products and Services"によると、サステナビリティ関連のイノベーションは企業の事業成長を加速させていることが分かった。
同報告書は全米産業審議会が非営利研究機関のInvestor Responsibility Research Center Institute(IRRCi)とともにまとめたもので、グローバル企業12社を対象にサステナビリティ関連製品・サービスの売上、R&D予算などを分析している。対象企業にはダウ・ケミカル、デュポン、GE、IBM、ジョンソン&ジョンソン、シーメンス、東芝などが含まれる。
報告書によると、2010年から2013年までの3年間で調査対象となる全12社の平均売上成長率は15%だったのに対し、サステナビリティ関連製品・サービスの売上成長率は91%となり、約6倍もの成長率を記録したという。
また、売上全体のうちこれらの製品の売上が占める割合は2010年の18%から2013年には21%まで拡大したとのことだ。中にはR&D予算の約5分の2をサステナビリティ関連製品へ投下している企業もあった。
同報告書の著者で全米産業審議会の主席研究員を務めるThomas Singer氏は「多くの企業にとってサステナビリティは企業責任や評判といった観点以上に実利につながるビジネス戦略となった。今回の調査ではサステナブルな製品やサービスに関わる研究開発の支出と収益のデータを使用し、そのインパクトを定量化した。また、サステナビリティのリーダー企業を深く研究することで、ビジネスチャンスを捉えようとする企業の行動についても研究した」と語る。
なお、報告書はこれらの成長を促進する要因として商業銀行および投資銀行の担う役割の大きさについても指摘しており、特にアセットファイナンスやタックス・エクイティ、グリーンボンドなどを通じたサステナビリティ関連事業への大規模投資が市場拡大を牽引しているとしている。
さらに、企業らのサステナブルな製品を開発する原動力となっているのは気候変動や資源不足といったサステナビリティ課題の解決を求める消費者の声であり、サステナブルな製品の開発を成功に導くためには幅広いステークホルダーとのエンゲージメントが必要だとしている。
企業によるサステナビリティへの取り組みは急速な発展段階にある。今後はますますサステナビリティ関連製品、サービスに対する市場ニーズが高まり、収益機会が拡大することが見込まれている。同調査の示す通り、企業にとってはサステナビリティへの戦略的な投資が長期業績を左右する分かれ目となりそうだ。
【レポートダウンロード】Driving Revenue Growth Through Sustainable Products and Services
【参照リリース】Sustainability Initiatives Can Drive Corporate Revenue Growth And Innovation, New Research Shows
【団体サイト】IRRCi
【団体サイト】The Conference Board
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