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【シンガポール】パーム油生産世界大手、森林破壊ゼロを目指し100%トレーサビリティへ

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 パーム油製造世界大手のゴールデン・アグリリソーシーズは4月26日、同社が生産または調達するパーム油の全てに関して2020年までにトレーサビリティを担保するようにすると発表した。ゴールデン・アグリリソーシーズはシンガポールに本社を置き、シンガポール証券取引所に上場している。米カーギル、同じくシンガポールのウィルマー・インターナショナルとともに、世界パーム油の大手3社と呼ばれている。同社が関わるパーム油農園は、自社直営が44ヶ所、調達農園が445ヶ所に及び、世界700万トンのパーム油を扱っている。同社は四半期ごとに進捗状況を対外的に報告していく。
 
 ゴールデン・アグリリソーシーズに対してはこれまで多くの問題が指摘されてきた。とりわけ大きな影響を与えたのが、国際環境NGOのグリーンピースが開始したキャンペーンで、ゴールデン・アグリリソーシーズのグループ企業が、特にインドネシアのパーム油生産によって深刻な森林破壊をもたらしていると糾弾。同社のパーム油を購入している企業に対してネガティブ・キャンペーンを張った。結果、ネスレ、ユニリーバ、バーガーキングなど世界大手が同社からのパーム油の購入を停止し、森林破壊を行わない認証をとった企業からの購入を宣言していた。その後もグリーンピースは追及の手を緩めず、パーム油の持続可能調達に関する世界的な認証である「持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil)」の認証制度そのものにも抜け穴が多いと指摘。パーム油を購入する企業にとって、パーム油に関するサステナビリティ調達には課題感が募っていた。

 グリーンピースはその後、Tiger Challengeというキャンペーンを開始。パーム油生産がもたらす森林破壊で絶滅危惧種のトラの生息地が危機的状況であることについて、パーム油のトレーサービリティを強化する取り組みを企業とともに始めた。すでに、ユニリーバ、オレオなどをブランドを持つ製菓企業モンデリーズ、同じくイタリアの製菓企業フェレロがこのキャンペーンに参加している。2014年9月には、米ダンキンドーナツや米クリスピー・クリーム・ドーナツなど複数の食品世界大手企業が、ヤシ油の使用そのものをやめる方針を明らかにした。日本企業からは、花王が2020年までの森林破壊ゼロを2014年7月に宣言、森林破壊ゼロを発表したアジア初の企業となった。こうしたパーム油購入企業の変化を受け、2013年12月にはウィルマー・インターナショナル社は、トレーサビリティを強化し、森林破壊をゼロにするコミットメントを宣言していた。

 今回のゴールデン・アグリリソーシーズ社の発表はこうした業界の流れによるものだと言える。同社は、第1フェーズは、同社供給量の40%を占める直営農園のパーム油のトレーサビリティを2017年までに100%にする。現状は90%程度だ。また、もっと深刻な調達農園のパーム油のトレーサビリティは2020年までに100%にする。トレース方法としては、文書の保管と検査を通じて、小規模農家を直接的または中間業者通してトレースを行う。具体的なアクションとしては、直営農園と調達農園のそれぞれにおいて1工場で試験的な取り組みを実施し、そこでの知見を他工場へ横展開していく。

 パーム油は、シャンプー、歯磨き粉、チョコレート、洗剤など幅広い製品に使用されており、日本企業にもこの課題に絡む企業は少なくない。パーム油に関しては、単に環境としてだけでなく、生物多様性という視点でも取り組みが求められている。

【参照ページ】Fully traceable palm oil in four years, Golden Agri-Resources sets new ambitious goal
【参照ページ】Caught Red-Handed: How Nestlé's Use of Palm Oil is Having a Devastating Impact on Rainforest, The Climate and Orang-utans
【参照ページ】Who's going to take the Tiger Challenge next?
【参照ページ】世界最大手のパーム油企業:ウィルマー社が「森林破壊ゼロ」方針を発表!
【参照ページ】花王、アジア企業で初めて 2020年までに「森林破壊ゼロ」を発表――グリーンピース森林保護キャンペーンを受けて、パーム油・紙等の調達で
【参照ページ】「罪悪感ないドーナツ」に、ヤシ油使用停止を宣言 世界食品大手

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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