カナダ最高裁判所は6月8日、カナダの資源採掘企業Tahoe Resourcesがグアテマラでの資源採掘プロジェクトで現地の反対運動活動家に対し人体に被害を与えたことが争われている事件について、Tahoe Resources側が求めていた裁判受理棄却の聴聞を拒否し、原告である反対運動活動家らの訴えを受理した。これにより、カナダ最高裁判所で裁判が行われることとなった。
Tahoe Resourcesは、2009年にカナダのブリティッシュコロンビア州で設立され、現在、カナダのトロント証券取引所と米ニューヨーク証券取引所の双方に上場。目下、カナダ、ペルー、グアテマラでの金や銀の採掘を行っている。今回事件となったのは、グアテマラでの採掘プロジェクトを巡り、現地の反対活動家が反対運動を展開したことに対し、Tahoe Resourcesから依頼を受けたグアテマラ軍や警察がスプレーやゴム弾で攻撃を加えたという。グアテマラ人活動家は、Tahoe Resourcesの本社所在地であるブリティッシュコロンビア州で民事裁判を行うため同州の裁判所に提訴。一方、Tahoe Resourcesは、裁判はグアテマラの裁判所で行うべきだとして、カナダの裁判所に受理しないよう求めていた。
今年1月、ブリティッシュコロンビア州の控訴裁判所(高等裁判所に相当)は、「原告は、グアテマラ政府の政治的利害に沿う採掘利権を持つ強大な国際的企業に対する正当な裁判を受ける困難さに直面する重大なリスクがある」として、ブリティッシュコロンビア州の裁判で事件を扱うべきだという判断を下した。今回カナダ最高裁判所は、この控訴裁判所の判断に沿う判断を下したが、理由は発表していない。
原告であるグアテマラ活動家側には、カナダの人権弁護士事務所であるFiorante Matthews Mogerman(CFM)とCanadian Centre for International Justice(CCIJ)が弁護団として就いている。
海外での事件に対して、裁判所が受理するかどうかについては、「フォーラム・ノン・コンビニエンス」という法理により、受理が却下されるケースが多い。今回カナダ最高裁判所が受理をしたことで、次は裁判での判決に注目が集まる。
【参照ページ】Supreme Court of Canada declines to hear appeal by Vancouver mining company in Guatemalans’ lawsuit
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