米航空大手サウスウエスト航空は10月20日、カリフォルニア州セント・ルイスーロサンゼルス間で、機長、副操縦士を務める女性パイロット2名、女性フライトアテンダント4名による同社初の「女性のみのフライト」を実現した。このボーイング737MAX8機からは、出発後直後にパイロットと客室乗務員による写真がツイートで発信。女性のみのフライトを支援するメッセージも集まった。
サウスウエスト航空は米国で3番目、世界では7番目に大きな航空会社であり、約49,000人を雇用している。このような大手航空会社でも、女性だけのパイロットによる飛行が極めて稀だという。英紙インディペンデントは昨年来、女性パイロットに関するトピックを数回取り上げている。交通機関の中でも、特に航空機のパイロットに関してはジェンダー格差が激しいことに注目している。
英国では、男性パイロットが女性パイロットを16対1で大きく上回っており、英トムソン航空では33対1となっている。同紙よると、今年1月の時点で、英国の乗客が頻繁に利用するブリティッシュ・エアウェイズや、格安航空会社のイージージェット(easyJet)、モナーク航空、ライアンエアーでは、いずれも女性のパイロットがわずか6%だった。また、英国発着の300便のうち2人のパイロットがともに女性だったのはたった1便で、男女1人ずつが17便、残りの282便は男性だけだったという。
このような状況を改善する方策として、英国航空最大手イージージェットのCarolyn McCall CEOは、同社における新規パイロット訓練生の女性比率を2020年までに女性とする目標を掲げた。この目標を達成するため、毎年50人のパイロット訓練生を育成していく。同氏によると、女性パイロットは数が少ないだけでなく、その後機長に昇格できる人は極めて少ないとのこと。現在は世界中で女性の機長はわずか450人で、その内62人が同社で働いている。
女性機長が少ない理由は何か。その理由についてMcCall氏は、男女双方の乗客の中には女性パイロットによる操縦に対して違和感を覚える、落ち着かないと語る人がいることを挙げている。この課題に対しては、男性同様の厳格な試験をパスし男性と同じ資格を所持している女性パイロットが、いかに優秀かを示し偏見を払拭していくしかないと述べている。
また、インディペンデント紙は、英民間航空局が定める規定には、女性だけに適用される項目があることも取り上げた。例えばイージージェットでは、女性乗客は妊娠35週まで搭乗できるのに対して、女性パイロットは26週までとされ、27週目以降は出産後体調が完全に回復するまでパイロット資格が保留されるという。妊娠を特別視されることで、パイロットというキャリアを追求するのを躊躇してしまうことに繋がるのではないかという意見だが、これには安全面からの異論もあるかもしれない。
日本国内の航空会社でも、2015年時点でパイロット全体約5,000人のうち女性は約50人。英国の6%よりさらに低い1%に留まる。さらの女性機長はわずか5人で、世界中の女性機長450人のうち1%強を占めるのみ。
【参照ページ】Southwest Airlines Cerebrates First All-Female Flight Crew
【参照ページ】All-Female Fright Crews:On the Flight Deck, Male Pilots still Outnumber Female16 to 1
【参照ページ】Male Pilots Outnumber Females by 16 to 1 on UK Airlines
【参照ページ】パイロットや整備士の世界で生きるオンナたち
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