オーストラリア年金基金業界団体のオーストラリア退職年金投資家協会(ACSI)は10月31日、オーストラリア政府が実施したオーストラリア現代奴隷法案のパブリックコメント募集に対し、サプライチェーン上の現代奴隷リスクの報告を企業に義務付ける内容については強く支持しつつも、その実効性に懸念を表明する意見を送ったことを明らかにした。
現在、検討中のオーストラリア現代奴隷法は、サプライチェーン上の現代奴隷リスクの特定を企業に委ね、もし企業があるとした場合に報告を義務付ける制度となっている。ACSIは企業に報告のフリーハンドを与える内容が不十分だとし、企業がリスクがないと判断した場合には、なぜないのかを説明する「If not, why not」アプローチを同時に導入するよう求めた。
ACSIは同時に、同法の遵守状況をモニタリングし、評価する独立機関の設立と、企業が同法に基づく報告を届出る公式なデータベースの設立も求めた。
オーストラリア現代奴隷法は、同国に本店があるか又は事業の一部を同国で実施している事業体であって、毎年1億豪ドル(約87億円)超の総収入を得ている企業に報告義務を課す。ACSIによると、オーストラリア証券取引所の上場企業のうち、240社が対象になるという。
【参照ページ】ACSI lodges submission on slavery in supply chains
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