投資運用世界大手米ブラックロックは9月13日、世界の保険業界の動向レポートを発表した。同様のレポートは今回が発行7回目。ESG投資を重要という回答が83%に達し、保険業界の中でEG投資への関心が非常に高くなっていることがわかった。
調査は、英調査大手エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が代行し、2018年7月から8月の間、27カ国の保険業界及び再保険業界の経営陣372人に対しアンケートまたは電話調査を実施し回答を得た。回答企業の運用資産総額は7.8兆米ドル(約880兆円)。地域割合では、欧州42%、アジア太平洋30%、北米20%、中南米8%。また12人には詳細な電話ヒアリングを行い、対象となったのは、アクサ、チューリッヒ保険、スイス再保険、プルデンシャル・ファイナンシャル、ブリッジハウス、サンライフ、Arch Capital、プルーデンシャル・コーポレーション・アジア、W&W、かんぽ生命保険。
今年の大きな傾向としては、投資ポートフォリオのリスクエクスポージャーを増やすとした回答が47%と約半数となり、投資リターンの向上での収益向上を図ろうとしている姿が伺えた。またリスク認識では、地政学リスクや金融規制リスク、長期の低金利リスクとした企業が大幅に減少し、一方環境リスクは6%から23%に大きく増加した。但し、環境リスクは一昨年では30%だったため、大きな増減を記録している。
ESG投資に対しては、「極めて重要」が36%、「非常に重要」が47%で83%となった。地域別は欧州とアジア太平洋地域で高かった。業種別では、生命保険で90%、総合型、再保険、損害保険ともに80%前後となった。但し、生保、総合型、再保険では「極めて重要」の割合が60%前後だったのに対し、損害保険では43%と低かった。ESG考慮分野では、大気汚染・廃棄物、気候変動、サイバーセキュリティ含む製品責任、再生可能エネルギー、問題の多い調達、労働慣行、企業倫理・透明性、ダイバーシティ等がいずれも80%前後で高かった。今後の課題では、ESG投資の定義を明確にする規制当局の政策や、ESG格付の品質向上を求める声が約90%と多かった。
その他、プライベートエクイティやプライベートボンドについては、運用効率化のため、外部運用委託すると答えた回答が98%と高かった。
【参照ページ】THE BLACKROCK GLOBAL INSURANCE REPORT 2018
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