英金融規制当局のイングランド銀行健全性監督機構(PRA)と金融行為規制機構(FCA)は10月15日、それぞれ、気候変動関連の財務リスクをコントロールするための新たな規制案を発表した。各々パブリックコメントを募集する。
PRAの規制案の対象は、英国内の銀行、保険会社、不動産企業、PRA認可投資会社。PRAの目的である「金融機関の安全性と健全性の促進」の見地から、金融機関の気候変動財務リスク対応が必要と判断した。PRAは、気候変動リスクは長期リスクとしながらも、リスクは明らかになってきていると言及。リスク最小化のためには、先んじた戦略的アプローチが必要とした。2019年1月15日までパブリックコメントを募集する。
PRAの規制案内容は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインの内容を概ね踏襲。対象となる金融機関に対し、「ガバナンス」「リスクマネジメント」「シナリオ分析」「情報開示」の4つに関するもの。ガバナンスでは、気候変動財務リスク対応を取締役会事項とし、執行レベルでも管掌する「上級マネジメント・ファンクション」を特定するよう求めた。「リスクマネジメント」では、通常のリスクマネジメント体制の中に気候変動リスクを統合すべきとした。またTCFDが求める「シナリオ分析」も要求事項に組み入れた。また、TCFD等の関連イニシアチブに対応する「情報開示」を求めた。
一方、金融規制の中でも「投資家・消費者保護、競争促進」を所管するFCAは、発表したディスカッションペーパーの中で新規制の方向性を発表した。まず、有価証券の発行体が投資家に対し適切に気候変動関連の財務リスクを開示するようにさせることが重要とした。また、長期投資家である年金基金や保険会社に対しても、受益者保護のため気候変動財務リスクを考慮した投資運用への規制強化が必要との考えを示した。そして、グリーンファイナンス商品の開発と健全な競争を促す必要性を表明した。FCAのディスカッションペーパーについては、2019年1月31日までパブリックコメントを募集する。
【参照ページ】PRA consults on its expectations for the management of financial risks from climate change
【参照ページ】FCA opens a discussion on the impact of climate change and green finance on financial services
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