
英環境・食料・農村地域省と英環境庁は7月29日、イングランド地方の約半分に当たる7地域を正式に旱魃状態と認定した。記録的な少雨と高温が重なり、中部、東部、南部の広範囲で、短期間に急速に進行する「フラッシュ旱魃」が発生している。
旱魃認定地域は、イースト・アングリア、ハートフォードシャー及びロンドン、テムズ、ソレント及びサウス・ダウンズ、デボン及びコーンウォール、ウェスト・ミッドランズ、ウェセックスの7地域。さらに、ケント及びイースト・サセックス、カンブリア及びランカシャー、グレーター・マンチェスター、マージーサイド及びチェシャー、イースト・ミッドランズ等も「長期的な乾燥状態」に指定された。通常の水資源状況にあるのは、ヨークシャーと北東部のみ。
2026年7月の降水量は、長期平均の7%にとどまり、南部では1%まで低下。デボンの一部では50日間、ハンプシャーの一部では49日間、降雨日がなかった。3回の熱波も発生し、気温が30℃を超える日が12日間連続した。4回目の熱波にも見舞われている
河川の78%は流量が平年以下に分類され、全河川の約6分の1が、この時期として「異例に低い」水準となった。レディングのテムズ川やケンブリッジシャー州ダーンフォードのカム川等では、同時期として過去最低の流量を記録している。貯水池の貯水率も75.3%まで低下し、長期平均を7.4ポイント下回った。約半数の貯水池は平年以下の水準にあり、ウィンブルボール貯水池とブラグドン貯水池は異例の低水準となっている。
水道会社では、アフィニティ・ウォーター、アングリアン・ウォーター、ケンブリッジ・ウォーター、サザン・ウォーター、サウスイースト・ウォーター、テムズ・ウォーター、サウスウェスト・ウォーターの7社が、一時的水利用禁止措置を導入。対象は約2,300万人で、同地方の人口の約40%に相当する。政府は水道会社に対し、漏水修繕を優先し、旱魃対応計画を徹底するよう要請した。
農業への影響も拡大している。穀物の収穫が前倒しされ、一部作物では収量が減少。農地火災も増加している。河川流量の低下を受け、取水許可に基づく取水制限は1,506件に達した。灌漑需要が高止まりする一方、農業用貯水池の水量も急速に減少しており、年末までの水確保が懸念されている。
生態系への影響では、特別科学的重要地区で2026年に110件の山火事が発生。河川流量の減少により、タイセイヨウサケ等の回遊魚が上流へ移動できない状況も生じている。繁殖池の水位低下は、ナタージャックヒキガエル等の繁殖成功率にも悪影響を及ぼしている。環境庁はこれまでに38件の魚類救出を実施し、ブラウントラウト、サケの幼魚、カジカ、グレイリング、ヤツメウナギ等を別の水域へ移した。
環境庁は、セバーン川上流の戦略的貯水池とシュロップシャー州の地下水から放水し、河川流量を確保するとともに、船舶航行、生態系、取水事業者への水供給を維持している。政府は、水道インフラへの長期投資として新たな貯水池9カ所の整備も進めるとしている。
同地方で旱魃が発生するのは、2022年、2025年に続き過去5年間で3回目。環境庁は、2年連続の夏季旱魃は極めて深刻であり、環境・生態系・経済に長期的な影響を及ぼすと警告した。
【参照ページ】Drought declared in half of England
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