【イギリス】政府、過去20年間で最大の労働改革政策発表。派遣社員にも同一労働同一賃金適用等 2018/12/23 最新ニュース

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 英ビジネス・エネルギー・産業戦略省は12月17日、大規模な労働改革政策「Good Work Plan」を発表した。労働者の権利を強化すると共に、同一労働同一賃金を徹底する。英国政府は今回の改革を、「過去20年間で最大の労働改革」と呼んでいる。

 今回発表の政策は、ロイヤル・ソサエティ・オブ・アーツ(RSA)のマシュー・タイラー・チーフエグゼクティブがとりまとめた労働市場改革レポート「タイラー・レビュー」での提言を反映したもの。今後、53の提言のうち51の提言の法制化を進める。

 主要な改革ポイントは、まず派遣社員に対しても同一労働同一賃金を要求するというもの。現行法では、同一企業内での無期雇用社員と有期雇用社員の間での同一労働同一賃金はすでに規定されているが、派遣社員は厳密には「同一企業」ではないため、規定適用が除外されている。英国では、この除外を「スウェーデン逸脱(Swedish derogation)」と俗称され、抜け穴と批判が多かった。そのため、今回の法改正では、派遣社員についても派遣先の無期雇用社員との同一労働同一賃金を適用しにいく。

 労働者が勤務初日に、雇用者に対して労働条件を記した書面の提供を要求できる権利も制度化する。有給休暇、傷病休暇、育児休暇等の詳細内容は取得要件に関する内容書面も要求できる。英国で「ゼロ時間契約(Zero-hour Contract)」が社会問題になっている。ゼロ時間契約とは、雇用者の呼びかけに応じて従業員が勤務する労働契約。日本では「オンコール労働者」とも呼ばれる。雇用者は最低労働時間を設定することなく労働者を抱えることができ、また労働者も雇用者の呼びかけに応じる義務はないため、働く時間を柔軟に選択できるというもの。但し、有給休暇や傷病休暇等が付与されないケースもある。今回、勤務初日に有給休暇等の制度を確認できるようにした。

【参考】【イギリス】マクドナルド、「ゼロ時間契約」社員制度の廃止を表明。固定時間契約に転換へ(2017年5月12日)

 労働裁判での罰金上限も上げる。英国での労働裁判では2014年から、雇用者側が労働者に労働法違反行為をした場合に、労働者に対する損害賠償だけでなく、雇用者側にも罰金を課すことができるようになった。現在、1件あたりの罰金上限は5,000ポンド(約70万円)だが、20,000ポンド(約280万円)に引き上げる。

 季節労働者に対する祝祭日労働賃金制度も改正する。英国の労働法では、雇用者は祝祭日にも労働者を勤務させることが可能で、割増賃金に関する義務も規定されていない。但し、祝祭日に労働者を雇用させる場合の賃金は、平日と同様の賃金を支払うこととが定められている。ここで問題になるのが、不定期で勤務している労働者を祝祭日に勤務させる場合の賃金計算で、現行法では過去12週間の平均とすることを定めていたが、季節労働者では過去12週間に賃金支払がない労働者もおり、不当に低賃金設定させることもあった。そのため今回の改正では、過去52週間(約1年間)の平均で計算する方式へと変更する。

 また英国では2005年から、「情報提供と労働者との協議に関する規則(The Information and Consultation of Employees Regulations)」が施行され、労働者側が雇用者に対し雇用契約に関する長期的な見通しの情報提出とそれに関する協議、変更を要求できる権利を労働者側に付与している。これにより、労働者の10%以上(最低15人)が文書で要求した場合には、雇用者は応じなければならない。今回の法改正では、この必要人数を、10%から2%に引き下げ、労働者側は権利を行使しやすくする。

【参照ページ】Largest upgrade in a generation to workplace rights – getting work right for British workers and businesses
【政策】Good Work Plan
【レビュー】マシュー・レビュー

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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