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【イギリス】マクドナルド、「ゼロ時間契約」社員制度の廃止を表明。固定時間契約に転換へ 2017/05/12 最新ニュース

 英国マクドナルドのPaul Pomroy社長は4月26日、英国で社会問題となっている「ゼロ時間契約(Zero-hour Contract)」従業員について、同社従業員115,000人を「ゼロ時間契約」から固定時間契約に切り替えることを表明した。英テレビ局BBCとのインタビューの中で話した。

 ゼロ時間契約とは、雇用者の呼びかけに応じて従業員が勤務する労働契約。日本では「オンコール労働者」とも呼ばれる。雇用者は最低労働時間を設定することなく労働者を抱えることができ、また労働者も雇用者の呼びかけに応じる義務はないため、働く時間を柔軟に選択できるというもの。但し、労働者は勤務時間が不確定であり、ときには全く働けないこともあるため、所得が非常に不安定になりやすい。そのため、住宅ローンや携帯電話契約を拒否されるケースもある。

 英国にはゼロ時間契約社員が90万人いると言われており、とりわけ飲食店やホテル業界などで多い。英国の労働法は、自由契約の原則に基づき、雇用者と労働者が労働契約を柔軟に結べるようになっており、1998年の最低賃金法でも、オフィスにいる間は仕事がなくても最低賃金を支払わなければいけないとしているが、オフィスにいない自宅待機などの間は名分的に賃金を支払う義務が書かれていない。

  マクドナルド英国は、これまで「柔軟な働き方の提供」だと同制度を支持してきたが、労働NGOのファストフッド ライツ(Fast Food Rights) やベター・ザン・ゼロ(Better Than Zero)等の抗議を受け、制度を改める考えを示してきていた。すでに同社は、全国23店舗で固定時間契約への転換を試験的に導入しており、対象者の約80%を契約転換を支持。同社は週平均4時間、8時間、16時間、30時間、35時間の選択肢を提供し、試験導入開始後には従業員および顧客の満足度レベルが上昇しているという。同社は今後、まずさらに50店舗に契約転換を導入し、今年後半には全店舗に拡大する。

 BBCとのインタビューの中で、Paul Pomroy社長は、今回の転換が外部からの圧力を受けての対応ではなく、雇用者と従業員の「相互に有益なアプローチ」だと説明。2015年4月以来、時間給で働く従業員に対し平均で15%の賃上げを実施してきたとも語った。

 英国労働組合の中央組織(ナショナルセンター)である英国労働組合会議(Trades Union Congress:TUC)は、政府に対してゼロ時間契約を禁止するよう要請。放置すれば、2022年までにゼロ時間契約者、派遣社員、低収入の自営業者など収入が不安定な労働者が現在より29万人増の350万人に達すると警鐘を鳴らしている。TUCによると、同契約で働く労働者は平均的な労働者に比べ、1時間当たりの賃金が3分の1少ないという。

 今回マクドナルド英国が「ゼロ時間契約」を廃止してく方針を示したことで、「ゼロ時間契約」が多い飲食・サービス業へ影響が波及していきそうだ。

【参考ページ】McDonald’s offers fixed contracts to 115,000 UK zero-hours workers
【参考ページ】Zero-hours contracts allow bosses to treat workers like “disposable labour”, says TUC

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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