経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は5月17日、デジタル技術によって自社ビジネスを変革させる「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」に関する企業調査結果を発表した。デジタル技術が世の中で普及していくことが「自社の優位性や競争力の低下」させると懸念する声が非常に多い一方、DXを推進する人材は大幅に不足しているという極めて先行きが厳しい結果となった。
今回の調査は、東証一部上場企業1,000社中92社が回答。AIやIoT等のデジタル技術が普及することでの影響について、「自社の優位性や競争力の低下する」との回答が全体の58.7%を占めた。「変化に対応できない自社従業員の大量発生」との回答も20.7%あった。現在の競争力を維持できる年数については、「2から3年」が22.8%、「5年」が28.3%で、5年未満に競争力を喪失するとの回答が半数以上だった。
すでに取り組んでいるアクションについては、「業務の効率化による生産性の向上」が78.3%を占める一方、「新規製品・サービスの創出」は47.8%、「現在のビジネスモデルの根本的な変革」が38.0%で、大方の企業では業務改善の次元でしかデジタル技術を活用しようとしていないことがわかった。さらに、最も取り組みやすい「業務の効率化による生産性の向上」でも、「既に十分な/ある程度の成果が出ている」との回答は28.2%にとどまった。
アクションの要となるDX推進人材については、全ての職階層で「大いに不足」が50%前後を占めた。「ある程度不足」を合わせると70%前後に達した。
【参照ページ】デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査
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