米金融情報配信ブルームバーグは11月5日、労働安全モニタリング装置メーカーStrongArm Technologiesの製品を導入している企業に対し、労働専門家が「労働者監視」の懸念を抱いていると報じた。12月9日までに、記事内で名指しされた導入企業5社とStrongArm Technologiesが、報道に対する回答を発表した。
2012年創業のStrongArm TechnologiesのIoT製品は、倉庫や工場労働者の体に装着し、労働者の健康状態や安全性を測定しデータセンターに発信している。同社によると、導入企業数は過去のものも含め約30。今回記事内で名指しで紹介されたのは、トヨタ自動車、GE、ハイネケン、ウォルマート、Geodisの5社。装置している労働者数は約15,000人で、ほぼ毎日装着している。一部のデータは、労災保険の支払抑止を試みる保険会社にも共有されているという。同社は2019年末までに、装着労働者数が35,000人まで増加すると見通している。
StrongArm Technologiesによると、装着している労働者は労災リスクが20%から50%減るという。しかし、労働専門家は、同装置が、労働生産性を向上するためのセンサーとして活用され、労働者の動きを常に監視する装置として導入されるリスクを指摘している。特に、罰則や支払報酬の削減に使われるリスクを強調しているとした。
StrongArm Technologiesは現在、同装置を労働生産性の測定のためには活用していないと述べている。また、StrongArm Technologiesのショーン・ペッターソン創業者兼CEOは、父親を労災で亡くしている。但し、ブルームバーグは、データを取得した企業は、他のデータ等と突合しながら、生産性把握のために活用できる可能性があると述べている。
トヨタ自動車は11月25日、米国工場の倉庫作業員に対し装着実証試験を10月22日から12月まで行っていると認めた上で、労働安全性のための検討しており、労働生産性のためのデータ取得については否定した。他の導入企業も同様の回答をした。StrongArm Technologiesも12月5日、過去に生産性把握のために活用した事例はないと強調した。
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