保険世界大手スイスのチューリッヒ保険は、カナダ政府が進める石油パイプライン・プロジェクト「トランスマウンテン・パイプライン」の拡張に対する損害保険提供を打ち切ることを決定した。英紙ロイターが7月23日、報じた。
トランスマウンテン・パイプラインは、アルバータ州からブリティッシュコロンビア州の港まで全長1,150kmのパイプラインで1951年に完成している。拡張計画では既存のパイプラインと並行して約980kmのパイプラインを敷設し、輸送量を拡大するもので、2018年に計画が政府に申請された。拡張する背景には、アルバータ州でオイルサンド開発が始動していることがある。
同プロジェクトの事業主は、政府系のカナダ開発投資公社の100%子会社である「トランスマウンテン・コーポレーション」。同プロジェクトに対しては、先住民団体や環境活動家から大きな批判が巻き起こっている。
ロイターによると、チューリッヒ保険は、2019年8月に締結され、2020年4月にカナダーエネルギー庁に提出されたトランスマウンテン・パイプライン拡張プロジェクトの損害保険契約でリード損害保険会社を務めている。同契約は、5億800万米ドルの資産をカバーし、保険期限は2020年8月まで。チューリッヒ保険は、800万米ドルの損害発生までは単独で損害保険金を提供する中心的な役割を担っており、さらに他の保険会社を含めて3億米ドルまでの損害保険をカバーしている。
今回チューリッヒ保険が保険引受から離脱することで、保険ストラクチャーには大きな変更が強いられることになる。他には、ロイズ・オブ・ロンドン、チャブ、リバティ・ミューチュアル、ミュンヘン再保険のテンプル保険が損害保険を引き受けている。ミュンヘン再保険は、オイルサンド開発に関する同社のガイドラインを参照し、引受を継続するか否かを検討しているという。
(出所)Banktrack
【参照ページ】Expansion Project
【参照ページ】Trans Mountain Pipeline Expansion project (TMEP)
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