飲料世界大手ベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)7月8日、13カ国2万人の小規模農家を対象に実施した支援のベストプラクティスを公表した。同社は2025年までに、直接サプライヤー農家すべてに対し、IT化や専門性強化、財務支援等を掲げており、今回の支援はその一環。
同社は2020年初頭、貧困解決支援NGOのTechnoServeと協働し、小規模農家を起業家と引き合わせ、情報・資本・市場へのアクセスの支援を開始。3月には、新型コロナウイルス・パンデミックにより、労働力の確保や物流で困難を抱える農家への支援にも注力している。
メキシコでは3月31、政府による必要不可欠な業種以外の事業活動停止命令が発令。ABインベブの醸造所も操業停止となり、多くの小規模農家が未曾有の財務的・社会的課題に直面し、翌収穫期まで耐え忍ばなければならなくなった。同社は操業停止にもかかわらず、サプライヤー農家に対し、当初契約通りの価格での購入を行い、翌収穫期に向けた農業への手当も給付した。
さらに、個人用防護具(PPE)の価格が従来比40倍に高騰しているため、保健当局ガイダンスに則り、PPEやフェイスシールド、消毒液をサプライヤー農家に支給。ZoomやWhatsAPP、メッセージングアプリ等のツールを介し、健康や公衆衛生、安全な栽培技術、持続可能な農業についての情報も継続的に提供した。
インドでは、同社サプライヤー農家の収穫期に新型コロナウイルス・パンデミックが発生。季節労働者の雇用が困難になり、農家の家族で収穫しなければならなくなった。また、販売も困難な中にもかかわらず、収穫した農作物の貯蔵場所の欠如や虫害が懸念されていた。
同社は、サプライヤー農家に対し、迅速に安全な貯蔵手段を提供し、収穫した作物の購入についても、当初契約通りの価格を維持した。また、メッセージやビデオアプリを通じ、農家との関係を継続。収穫や貯蔵に関するアドバイスや、インド政府の新型コロナウイルス対策ガイドラインに関する最新情報を提供した。市場が再開した際には、検品設備等を農家に直接提供し、収穫作物の集荷場への出荷までを支援。コロナウイルス・パンデミック禍にもかかわらず、インドでは予測を上回る収穫高を記録した。
また同社子会社のCervecería Nacionaは7月22日、エクアドル生産・貿易・投資・漁業省の支援のもと、同国での社会経済開発推進プログラム「Siembra por Contrato(Sow by Contract)」を開始すると発表。今後5年間で1,100万米ドル(約12億円)を投じ、同国ボリーバル県、トゥングラワ県、チンボラソ県、コトパクシ県、マナビ県で、直接雇用2万人分、間接雇用6万人分を創出するとした。
同社は100%天然素材のビールブランド「Nuestra Siembra」を製造しており、過去10年間、スマートアグリや現地農家支援を実施。大麦生産では、農家7万人が便益を享受してきた。今回発表のプログラムでは、政府と協働し、今後5年間で3万haの土地購入。17.8万人にインパクトを与える見込み。第一段階として、2020年下期から2021年上期にかけ、麦芽、とうもろこし、米、片栗粉用の農地6,463haを購入しするとした。
農家は、同プログラムに参画することで、農地開発の支援を受けることが可能。Cervecería Nacionalは、各工程のトレーサビリティ、公平性、透明性についても担保する。
【参照ページ】Cerveceria Nacional launches sustainable program to help reactivate Ecuadorian agriculture
【参照ページ】Supporting our smallholder farmers through the pandemic and beyond
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