水素燃料電池航空機開発スタートアップの米英ゼロアビアは12月16日、ビル・ゲイツ氏等が2016年に設立したBreakthrough Energy Coalition(BEC)のファンド「Breakthrough Energy Ventures(BEV)」が中心となった資金調達ラウンドで、合計3,340万米ドル(約35億円)の出資を受けたと発表した。別途、英政府も1630万米ドル(約17億円)の支援も得た。
ゼロアビアは、2017年に米カリフォルニア州で創業。現在はロンドンにも本社を置く。水素燃料電池(FC)で駆動する10人から20人乗りの500マイル(約800km)飛行の旅客機や貨物機を開発しており、すでに9月に世界初の燃料電池航空機の実験飛行ライセンスを当局から得ている。6人乗りのプロペラ機では、すでに10回のテスト飛行を成功。2023年に商業飛行を計画し、2030年には200人乗り機で3,000マイル(約4,800km)の商業飛行を目標としている。
今回出資額は、BEVが2,140万米ドル。他には、アマゾンが設立した「Climate Pledge Fund(気候誓約ファンド)」、ロイヤル・ダッチ・シェルのCVCシェル・ベンチャーズ、香港ベンチャーキャピタルHorizons Ventures等。合計で3,340万米ドルの出資を集め、同社創業からの累計では4,970万米ドル(約51億円)を調達した。これに英国政府からの支援金も加わる。
【参考】【国際】ビル・ゲイツら世界の資産家33名、10億ドルの再エネ分野ファンドを共同設立(2016年12月24日)
【参考】【国際】アマゾン、気候誓約ファンド設立し2150億円拠出。2040年カーボンニュートラルに向け投資(2020年6月30日)
ゼロアビアは12月12日には、英ブリティッシュ・エアウェイズとの提携を発表。ブリティッシュ・エアウェイズは、将来のゼロエミッション型航空機の開発に際し、ゼロアビアの燃料電池航空機の技術を主軸にすることを早くも決めた。同提携は、ブリティッシュ・エアウェイズの親会社インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)のベンチャー協働プログラム「ハンガー51」の一つとして運営され、プログラム中の技術開発は両社で共有。プログラム終了後は、長期的なパートナーシップの在り方を双方で協議することとなっている。
英政府もすでにゼロアビアとブリティッシュ・エアウェイズの提携に「ベット」しており、英政府の2050年カーボンニュートラル法定目標の達成に向けた航空機開発の官民連携パートナーシップ「Jet Zero Council」のプロジェクトにも選定されている。
ゼロアビアは国際戦略でも手を打っており、11月には、国際民間航空機関(ICAO)の「持続可能な航空のための世界連合(GCSA)」にも加盟している。
【参照ページ】BRITISH AIRWAYS PARTNERS WITH ZEROAVIA TO SPEED UP THE SWITCH TO HYDROGEN-POWERED PASSENGER AIRCRAFT
【画像】British Airways
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