食品世界大手スイスのネスレは5月31日、同社の栄養・健康戦略を見直す検討をしていることを明らかにした。英紙フィナンシャル・タイムズが5月31日、リークされた同社の内部文書で、同社の内部調査の中で同社製品の60%以上が、世界的に有名なオーストラリアのHealth Star Rating(HSR)の評価で3.5未満であることが発覚したと報じていた。HSRは、国際的な栄養インデックス「ATNI(栄養アクセス・インデックス)」でも活用されている指標。
【参考】【イギリス】ESG投資推進ShareAction、食品・小売に児童肥満対策要請。エンゲージメント強化(2019年5月20日)
ネスレは、HSRで3.5以上を取得することを企業目標としている。しかし、今回の調査では、食品カテゴリーで約70%が3.5未満。ピュアコーヒーを除く飲料の96%、アイスクリームやチョコレートの99%でも3.5未満だった。HSRの評価体系は、塩分、糖質、飽和脂肪酸、野菜・果物含有率等の栄養要素で構成されており、日本企業でも高評価を取ることは容易ではない。それでも、水製品では82%、乳製品では60%が3.5以上だった。
今回の評価対象には、ベビー食品、ペットフード、コーヒー、健康食品部門は含まれておらず、対象事業は同社の売上の約半分の926億スイスフラン(約11.3兆円)を占める。
ネスレは5年前から、食品の健康・ウェルビーングでの事業KPIを定め、重要な経営課題として扱っている。今回の自主的な栄養基準調査もその一環。今後、同社の栄養基準「ネスレ栄養ファンデーション」を改訂し、事業をさらに改善しにいくという。
【参照ページ】Nestlé document says majority of its food portfolio is unhealthy