米バイデン政権は、1月の就任後、3月に「米国救済プラン」を連邦議会で成立させ、さらに「米国雇用プラン」と「米国家族プラン」を発表。それと同時に、米連邦議会では環境対策に関する重要法案2本の審議が行われており、成立すると大規模な環境規制が誕生することになる。
重要法案の1つ目は、3月に連邦下院に提出された「クリーン未来法案」。同法案は、2030年までに米国の二酸化炭素排出量を2005年比50%減、2050年までにカーボンニュートラルもしくはカーボンネガティブを達成することを法定目標とするもの。電源については、再生可能エネルギーと原子力発電をあわせた「クリーンエネルギー」に完全転換することを明記している。
同法案では、連邦政府の諮問機関として「クリーン経済連邦諮問委員会」を設置することも盛り込んでいる。同委員会は、「環境正義」「気候正義」「労働者のための公正と平等」「化石燃料に依存するコミュニティの転換」の4つを扱うこととし、ジャスト・トランジション(公正な転換)も明確に位置づけている。
また同法案では、発電に関しては、「ゼロエミッション電力クレジット」制度を設け、2023年以降、全ての小売電力会社にゼロエミッション電力クレジットの取扱量を報告することを義務付ける。また同クレジットの取引所も設置する。また、電力会社には、「コミュニティ太陽光発電プログラム」の提供を義務付け、石炭火力発電については他の施設への転換を支援する。石炭燃焼残渣に関する規制も強化することも掲げ、かつてのオバマ政権を彷彿とさせる内容も盛り込んだ。
もう一つの重要法案は、「プラスチック汚染脱却法案(Break Free From Plastic Pollution Act)」で、こちらも連邦下院で審議中。同法案は、プラスチック汚染対策として、プラスチック容器・包装の設計、回収、再利用、リサイクル、処分に関する製造者責任を定めるもの。対象は年間売上100万米ドル以上もしくは対象製品の消費量が年間1t以上の企業。
同法案では、飲料容器のデポジット制度の導入や、再生素材含有量の基準を設定することも明記。さらにリサイクルできない使い捨てプラスチック製品を段階的に廃止することも掲げている。さらに発展途上国に廃プラスチックを輸出することも禁止する。
これらの法案の成立予定時期は、まだ不明。今後の動向に注目が集まる。
【参照ページ】H.R.1512 - CLEAN Future Act
【参照ページ】H.R.5845 - Break Free From Plastic Pollution Act of 2020
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