【ランキング】2022年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」 2022/01/19体系的に学ぶ

【ランキング】2022年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」 1

 毎年1月が恒例の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)は、新型コロナウイルス・パンデミックの影響により、2022年も2年連続で延期が決定。夏の開催が検討されている。

 毎年のダボス会議の目玉のひとつは、サステナビリティの観点で世界各国の企業を評価する「Global 100 Most Sustainable Corporations in the World (Global 100 Index)」のセッション。ここで発表された結果は、カナダの出版社Corporate Knights社によって「世界で最も持続可能な企業100社」(ランキング)として発表される。今年はダボス会議自体が延期の中、同ランキングは1月18日に単独で発表された。早速、2021年の顔ぶれを見ていこう。

Global 100 トップ10

順位 企業 業界
1 ヴェスタス・ウィンド・システムズ デンマーク 電機
2 クリスチャン・ハンセン デンマーク 化学
3 オートデスク 米国 IT
4 シュナイダーエレクトリック フランス 電機
5 シティ・デベロップメンツ シンガポール 不動産
6 アメリカン・ウォーター・ワークス・カンパニー 米国 インフラ
7 オーステッド デンマーク エネルギー
8 アトランティカ・サステナブル・インフラストラクチャ 英国 エネルギー
9 ダッソー・システムズ フランス IT
10 ブランブルズ オーストラリア 物流

(出所)CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成

昨年に引き続きトップ10入りしたのは、

  • シュナイダーエレクトリック
  • オーステッド
  • アメリカン・ウォーター・ワークス・カンパニー

 の3社。今年は前年度のメソドロジーから大きな変更はなかった。

 また、日本でも知名度の高い企業やSustainable Japanでしばしば取り上げる企業も多数、11位から100位の間にランクインした。

12位 ケリング
22位 積水化学工業
24位 ネステ
25位 イベルドローラ
27位 セールスフォース・ドットコム
28位 シスコシステムズ
32位 エーザイ
36位 アルファベット
44位 TSMC(台湾積体電路製造)
46位 サムスンSDI
50位 HP
52位 テスラ
53位 コニカミノルタ
54位 ヒューレット・パッカード・エンタープライズ
55位 SAP
56位 フィリップス
59位 ウニクレディト
60位 コメルツ銀行
61位 INGグループ
63位 ヘンケル
64位 インテル
66位 プロロジス
67位 サノフィ
70位 ノルデア銀行
71位 ナショナル・オーストラリア銀行
75位 キャピタランド・インベストメンツ
76位 BNPパリバ
77位 プーマ
78位 ユニリーバ
80位 モントリオール銀行
82位 アディダス
84位 BTグループ
87位 レノボ・グループ
88位 ナチュラ
89位 キャンベル・スープ
91位 アストラゼネカ
93位 アリアンツ
97位 バイオジェン
99位 LG電子
100位 BYD(比亜迪)

 日本からは、積水化学工業、エーザイ、シスメックス、コニカミノルタ3社がランクイン。日本企業のランクイン数は、2015年の1社から2016年と2017年は4社。2018年も4社を維持し、2019年は2倍の8社へ、2020年は6社に減り、2021年5社、そして今回が3社へと減った。昨年までの常連の武田薬品工業とシスメックスは姿を消した。一方、積水化学工業は5年連続のランクインとなった。

Global 100 地域別社数ランキング

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
ヨーロッパ 44 59 55 49 52 53 59 59 51 49 46 41
北米 21 14 20 31 32 27 25 22 28 29 33 36
アジア・太平洋 31 23 18 18 15 18 14 14 17 18 18 20
中南米 3 3 5 2 1 2 2 5 4 3 2 3
中東・アフリカ 1 1 1 0 0 0 0 0 0 1 1 0

 地域別のトップ100企業数は、北米企業がじわじわと数を伸ばしてきている。ヨーロッパと北米を合わせた企業で約8割。アジア・太平洋のランクイン数は19社で昨年から1社増えた。

Global 100 アジア内国別ランクイン社数ランキング

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
アジア・太平洋 31 23 18 18 15 18 14 14 17 18 18 20
 日本 19 12 4 5 1 4 4 4 8 6 5 3
 シンガポール 1 2 3 4 4 4 3 3 2 3 3 3
 韓国 1 2 1 3 4 4 3 3 3 2 2 2
 オーストラリア 6 6 9 5 4 5 2 2 2 2 2 3
 中国 0 0 0 0 1 1 1 1 0 2 2 4
 台湾 0 0 0 0 0 0 0 1 2 2 1 1
 香港 1 0 1 1 1 0 1 0 0 1 1 2
 インド 3 1 0 0 1 0 0 0 0 0 1 1
 トルコ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1

(出所)CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成

 アジア・太平洋地域内のランクイン企業数は、初めて中国が4社でトップとなった。中国のランクイン企業は、信義光能控股(Xinyi Solar Holldings)が42位、隆基緑能科技(LONGi Green Energy Technology)が47位、レノボ・グループが87位、BYDが100位。その後は、日本、オーストラリア、シンガポールが3位でタイ、韓国2社、台湾と香港が1社ずつ。

ランキングの評価方法①(4つのスクリーニング)

 Global 100の選出方法は、2021年に大幅な変更があった。評価対象は上場企業のみで、対象企業は、以前は20億米ドル以上だったが、2021年からは売上10億米ドル以上となった。

 その後に3段階のスクリーニングが行われ、そのスクリーニング基準を満たさない企業はその時点でランキング対象から除外される(但し、前年のGlobal 100ランクイン企業は、自動的にランキングの対象となる)。それを通過した企業のみにスコアリングが為され、ランキングされる。スクリーニングは以下の2点。

  1. 財務状況
  2. 製品カテゴリー

1. 財務状況

情報開示のスクリーニングを通過すると次は財務状況でスクリーニングされる。具体的には、以下の要件のうち5つ以上満たす必要がある(PiotroskisのFスコアと呼ばれている)。

  1. 純利益が黒字であること
  2. 営業キャッシュフローが黒字であること
  3. (純利益/期初総資産)が前年度の数値を上回っていること
  4. 営業キャッシュフローが純利益を上回っていること
  5. 長期負債÷総資産の年平均額が増加していないこと
  6. 流動比率が高まっていること
  7. 前年に普通株式発行を行っていないこと
  8. 粗利益が前年より増加していること
  9. 総資産回転率が向上していること

2. 製品カテゴリー

 財務状況のスクリーニングを通過すると次は製品カテゴリーのスクリーンが行われる。今年は大幅な変更があった。

  1. 医薬品アクセスインデックスで下位25%の製薬会社
  2. 栄養アクセスインデックスで下位25%の食品会社
  3. Motley Fool、Wespath、Sin Stocks、RedLightNetworkでリストアップされたアダルト企業
  4. InfluenceMapで気候変動ロビー活動がレッドの企業
  5. InfluenceMapで気候変動議決権行使が下位25%の運用会社
  6. NBIMに投資除外指定されたセメント会社
  7. NZ SuperFundに投資除外指定された民間武器会社
  8. NBIMとNZ SuperFundに投資除外指定された問題のある武器メーカー
  9. ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が問題のある武器売上比率50%と認定している武器メーカー
  10. Chain Reaction ResearchまたはNBIMが森林破壊関与と認定している企業
  11. GICSで化石燃料セクターに位置づけられており、新規投資の脱炭素向け割合が20%未満の企業
  12. 動物福祉専門機関により「遅れている」と認識された企業
  13. アメリカ・フレンズ奉仕団に投資除外推奨されている営利刑務所運営会社
  14. GICSでギャンブルセクターに位置づけられている企業
  15. NBIMに腐敗で投資除外指定されている企業
  16. 罰金・和解金の対売上比が1%を2年連続で超えた企業
  17. NBIMにオイルサンドで投資除外指定されている企業
  18. NBIMに著しい環境破壊で投資除外指定されている企業
  19. NBIMに人権侵害で投資除外指定されている企業
  20. NBIMに一般炭(石炭)で投資除外指定されている企業
  21. NBIMにたばこで投資除外指定されている企業

ランキングの評価方法②(スコアリング)

 スコアリングする際の評価基準は、24項目に分類され、昨年までの21項目から3つ増えた。そのうち12項目が必須項目で業種になく評価に用いられる。その他12項目は、業種に応じたウエイトが用意されている。

  • エネルギー生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷(直接的および間接的なエネルギー消費量ー再生可能エネルギー消費量)
  • GHG生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 二酸化炭素排出量(スコープ1とスコープ2)
  • 水生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 水使用量
  • 廃棄物生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 廃棄物排出量
  • VOC生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ VOC排出量
  • NOx生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 窒素酸化物排出量
  • SOx生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 硫黄酸化物排出量
  • PM生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ PM排出量
  • クリーン売上:EUタクソノミー、中国タクソノミー、気候債券イニシアチブ(CBI)等が定める「クリーン」商品・サービス売上比率
  • クリーン投資:Corporate Knightsが指定する「クリーン」R&D投資・設備投資・M&A投資比率
  • 休業災害(LTI)率
  • 事故死者数: 事故死者数 ÷ 総従業員数
  • 離職率: 離職者数 ÷ 総従業員数
  • 有給休暇:本社所在国で有給休暇10日以上、有給中の給与50%以上支給
  • CEO報酬と従業員平均報酬の比率
  • 役員報酬制度:サステナビリティ指標に連動した報酬制度の有無
  • 経営陣の女性比率
  • 取締役の女性比率
  • 経営陣の人種マイノリティ比率:本社所在国の従業員の人種比率と経営陣の人種比率の差
  • 取締役の人種マイノリティ比率:本社所在国の従業員の人種比率と取締役の人種比率の差
  • サプライヤー:ブルームバーグのデータをもとに企業の最大サプライヤーを特定。そのサプライヤーをGlobal 100と同じ評価方法でスコアリングした際のスコア
  • 税納付: 納税額 ÷ 過去5年EBITDA
  • 年金保護: 75% ×(DB及びDC年金掛金total ÷ フルタイム当量従業員パーセンタイルランク)+ 25% ×((DB年金資産の公正価値 ÷ フルタイム当量従業員パーセンタイルランク)− (1-(DB年金資産の公正価値 ÷ 負債パーセンタイルランク))
  • 制裁減点: 制裁金・課徴金・罰金 ÷ 過上

最終ランキングの作成

 最終ランキングは全業界横断での評価ではなく、まず業界ごとのスコアランキング表が作られる。そして、ベンチマーク指標であるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)でのセクター(業界)割合を用い、各業界からの最終ランキングに入ることができる業界ごとの企業数を割り当てる。最後に、その業界割当数を用い業界ランキングの上位企業から最終ランキングに入れられる。

【ランキング】2022 Global 100 Press Release

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

Links