国際環境シンクタンクNGOのクライメート・アクション・トラッカー(CAT)は6月3日、2021年11月の第26回気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)以降、2030年までの気候変動への政府アクション強化が停滞していると警鐘を鳴らすレポートを発表した。
CATの分析では、政府の行動を現状レベルのままであれば、2030年の世界はパリ協定の1.5℃目標で許容される二酸化炭素排出量の2倍レベルとなる見通し。その場合は、気温は2.7℃上昇。各国がコミットした2030年目標でも2.4℃上昇レベルであり、パリ協定に基での国別削減目標(NDC)の引上げが欠かせない。
【参考】【国際】COP26表明の各国目標、2030年では2.4℃上昇ペースで不十分。CAT分析(2021年11月10日)
CATは今回、仮にEU、米国、中国がNDC値を5%から10%ポイント幅目標を引き上げた場合、削減に必要な二酸化炭素排出量とのギャップとして抱えている17Gtから20Gtの水準から、3Gtから4Gtの水準へと大きく減らすことができる。特に、EUが再生可能エネルギー目標の引上げ政策を進めていることに期待感を示した。
とりわけCATは、政府アクションが停滞している要因を、ロシアのウクライナ戦争によるエネルギー危機とみている。特に短期的には、天然ガス開発関連でのプロジェクト開発が増えてきていることに懸念を表明した。6月8日には、エネルギー危機対応の「やるべきこと」と「やってはいけないこと」のリストをまとめたレポートも追加で発行した。
CATは、EUと英国政府は、再生可能エネルギー目標の引き上げを図っているが、必要な水準にはまだ達していないと、さらなる引き上げを求めた。各国政府が、化石燃料の価格高騰で一律に補助金を支給したことにも苦言を呈した。唯一デンマークだけが、エネルギー価格の下落局面で補助金を減らす策にでていると評価した。化石燃料企業への課税強化も有効とした。
【参照ページ】Despite Glasgow Climate Pact 2030 climate target updates have stalled
【参照ページ】Analysis: Dash for gas in response to Russia/Ukraine crisis could lock in warming
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