国際環境シンクタンクNGOのクライメート・アクション・トラッカー(CAT)は11月9日、同日までに各国政府が発表した2030年までの二酸化炭素排出量の削減目標を勘案した気温上昇の予測を発表した。依然として、2.4℃上昇ペースで進んでいると警鐘を鳴らした。
CATの分析によると、第26回国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)で各国が表明した目標値を積み上げても、2030年の二酸化炭素排出量は1.5℃目標に対し約2倍の水準となる。昨年との比較ても削減幅は15%から17%しか縮まっていない。各国は2050年頃までのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)も宣言しているが、2030年までの削減が大幅に遅れることがわかった。
宣言ベースではなく、実際の実行ベースでの政策に基づくと、気温上昇は2.7℃のペースで昨年から0.2℃分だけ短縮された。だが、1.5℃目標との乖離は大きい。
CATは過去1年間で、米国と中国が国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局に新たな目標を提出したことで、CATの標準的な「誓約と目標」シナリオの気温上昇は0.3℃下がって2.1℃に下がっていることも伝えた。またCATの「楽観シナリオ」では、各国のカーボンニュートラル宣言が完全実施された場合、2100年までの気温上昇は1.8℃まで引き下がるとしつつも、2030年目標時点での大きな乖離から、楽観は禁物とも釘を差した。楽観シナリオでも、21世紀中の気温上昇のピークは1.9℃まで上がり、統計確率的に2.4℃を超える可能性も約16%あるという。
国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル常務理事も11月4日、COP26で宣言された全ての目標が完全実施されれば気温上昇は1.8℃上昇にとどまるとし、CATと同様の見解を示した。
【参照ページ】Glasgow’s one degree 2030 credibility gap: net zero’s lip service to climate action
【参照ページ】COP26 climate pledges could help limit global warming to 1.8 °C, but implementing them will be the key
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