ボランタリー炭素市場拡大に関するタスクフォース(TSVCM)が創設したボランタリークレジット基準策定ガバナンス機関ICVCMは10月6日、カーボン・コア原則(CCP)、評価フレームワーク(AF)、評価手順の最終化作業に入ったことを明らかにした。草案に対し9月27日までパブリックコメントを募集。5,000件以上のコメントが寄せられた。
【参考】【国際】自発的炭素市場拡大に関するタスクフォースTSVCM、2021年末にガバナンス機関創設へ(2021年7月13日)
ICVCMが6月に発表していたのは、カーボン・コア原則(CCP)、評価フレームワーク(AF)、評価手順の原案。まず、カーボン・コア原則(CCP)では、カーボンクレジットの信頼性を評価する上での基本要素を設計。評価フレームワーク(AF)では、CCP基準の適合性を判定するための基準を、評価手順では、評価プロセスやタグ付手法等を定めている。
特に、CCPでは、重要原則とし、「追加性(アディショナリティ)」「緩和活動情報の包括性と透明性」「二重計上禁止」「永続性(パーマネンス)」「プログラム・ガバナンス」「プロジェクト登録」「第三者による認証」「緩和・除去量の定量化」「環境・社会セーフガード」「カーボンニュートラルへの移行」の10個を掲げた。永続性に関しては、可逆の場合は補償措置を設けることも求めている。
ICVCMには、22人で構成するガバナンスボードが運営機関となり、議長をアネット・L・ナザレス元米証券取引委員会(SEC)委員が務めている。また、12人の専門家パネル委員と、30人のアドバイザリーグループメンバーも選任されている。事務局は、英グリーンファイナンス研究所(GFI)、英標準化機関BSI、International Emissions Trading Association(IETA)、Center for Climate and Energy Solutions(C2ES)の4機関が務める。創設スポンサーは、英財務省、シティ・オブ・ロンドン、環境防衛基金(EDF)、WBCSD、コンサーベーション・インターナショナル(CI)、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)、世界資源研究所(WRI)、ブレイクスルー・エナジー、High Tide Foundation、South South North、国際金融協会(IIF)、シンガポール国立大学(NUS)等。
今回のパブリックコメント過程では、ボランタリークレジット大手Verraが声明を発表。CCPとAFの策定プロセスを抜本的に見直すよう求める声明を発表している。理由は、CCPとAFの策定は支持するものの、原案の内容が厳しすぎ、実務上の運用にならないことを懸念。カーボンクレジットがむしろ減少してしまうおそれがあるとしていた。そのため、Verraは、AFの策定を段階的に進め、既存の評価イニシアチブを活用・補足しながら、長期的にCCPに適合する確立を進めるべきと提言している。同様に大手ゴールドスタンダードも声明を発表。要件が細かすぎるとし、修正を求めている。
【参照ページ】Integrity Council’s public consultation on Core Carbon Principles demonstrates clear commitment to high integrity across all stakeholder groups
【参照ページ】Call for input to co-create definitive, consistent threshold for high-quality carbon credits
【参照ページ】ICVCM Process Needs Course Correction
【参照ページ】Response from the Gold Standard Foundation to the Integrity Council for the Voluntary Carbon Market’s Consultation on its draft Core Carbon Principles, Assessment Framework and Assessment Procedure
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