持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)のスコープ3のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)の透明性を確保するための複数のイニシアチブを統括するプログラム「カーボン・トランスペアレンシー・パートナーシップ(PACT)」は1月26日、スコープ3の二酸化炭素排出量算出に関するガイドライン「パスファインダー・フレームワーク」の第2版を発表した。第1版は2021年の第26回気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)で発表していた。
【参考】【国際】WBCSD、製品カーボンフットプリント算出でガイダンス発行。データ透明性も検討(2021年11月11日)
今回の改訂では、主に4つの内容を補強した。まず、スコープ3の排出量算出のために用いる製品カーボンフットプリント(PCF)を算出する上で、適用される算出ルールの優先順位を明確にした。順番としては、製品単位、セクター単位、セクター横断単位の順に適用することを規定した。
セクター単位のルール設定に関しては、さらに適用優先順位を定め、法規制が求めるルール、グローバルで策定されたセクター単位のルール、販売地域もしくは生産地域で策定されたセクター単位ルールの順に適用することを推奨。販売地域や生産地域が不確かな場合は、よりグローバルなレベルで策定されたルールを適用すべきとした。
製品単位、セクター単位、セクター横断単位のいずれについても、GHGプロトコルもしくはISO14067、欧州委員会の製品環境フットプリント(PEF)に基づいて策定されたものでなければならないとした。
2つ目の改訂の柱は、製品単位ルールの適用や、2次データ活用に関する品質セーフガード要件の規定。製品単位ルールの設定では、マルチステークホルダーでの開発及び独立レビュー、5年毎のレビュー、ISO14000シリーズ等への準拠、販売地域もしくは生産地域で策定されたルールの適用の4つを設けた。その中で、欧州委員会の製品環境フットプリント・カテゴリールール(PEFCRs)を例示しつつ、欧州と状況の異なる国では、PEFCRsが提示しているメソドロジーを参考に各地域で設定することを推奨した。
2次データ活用に関するセーフガード要件では、ライフスタイルアセスメント(LCA)原則への準拠、採用した手法の開示、LCAデータベースを活用した場合は定期的なメンテナンス、パスファインダー・フレームワークが掲げる帰属アプローチ等への準拠を規定した。
3つ目の改訂の柱は、データの信頼性を確保するための指標として、算出した製品カーボンフットプリントに占めるプライマリーデータの比率を示した「1次データ比率(PDS)」の他に、「データ品質格付(DQR)」も設定。DQRは、テクノロジー、時期、地域、完全性、信頼性の5つの観点からデータ品質を「Good」「Fair」「Poor」の3段階で評価。各々の評価を加重平均して、全体のDQRを算出し、開示することを義務化した。
4つ目の改訂の柱は、保証業務に関して。パスファインダー・フレームワークの準拠保証については、2025年までの短期、2030年までの中期、2030年以降の長期の3つの期間に分け、段階的に保証要件を引き上げていくアプローチを決定した。
その他、適用除外ルール、配分ルール、生物由来の排出量ルールに関する内容を明確にした。
パスファインダー・フレームワークは、算出した排出量はサプライチェーン内のステークホルダー間でデータ交換可能な状態にしなければならないとしている。PACTが進めているオープンで分散型のデータベース基盤プログラム「パスファインダー・ネットワーク」の技術仕様要件は別途2月中旬に発表する予定。
【参考】【国際】WBCSD、スコープ3排出量データの統一技術仕様発表。海外大手ベンダーで相互接続性検証完了(2022年6月20日)
【参照ページ】Emissions transparency: Pathfinder Framework provides updated guidance for the accounting and exchange of product life cycle emissions
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