IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は2月16日、モントリオールで開催した会合で、サステナビリティ開示基準の「一般サステナビリティ開示事項(S1)」と「気候関連開示事項(S2)」の内容を双方を全会一致で最終合意した。
今回の最終合意を受け、審議会委員の最終チェック段階「Ballot」に移る。異議がなければ、最終編集チェックや翻訳等を行い、策定作業が完了する。ステークホルダーからパブリックコメントを受け付けることもありうる。最終発行は2023年中旬を予定している。
【参考】【国際】ISSB、サステナビリティ開示基準草案発表。SASBスタンダードの原則を採用(2022年4月1日)
【参考】【国際】ISSB、スコープ3排出量開示義務化決定。シングルマテリアリティの採用を確認(2022年10月31日)
【参考】【国際】ISSB、スコープ3算出手法方針決定。1年の猶予期間も。生物多様性も重視(2022年12月22日)
今回の会合では、S1とS2の発効日を2024年1月1日以降の事業年度の年次報告から適用することで合意。すなわち2025年度に発行する年次報告から適用されることになる。適用日より前に準拠することも、S1とS2を同時に準拠する場合に限り認めた。適用を急ぐ理由として、証券監督者国際機構(IOSCO)とG20諸国が、早急な基準作りが必要との声明を出していたことを挙げた。
また、猶予措置として、初年度に関しては、S1とS2がともに準拠されている場合には、財務開示と同時にサステナビリティ関連財務情報開示を実施する要件は免除。加えて、GHGプロトコル以外に準拠したスコープ1、2、3の報告を行ってきた発行体については、初年度に関してはGHGプロトコルへの準拠要件が免除される。
2年目以降にも適用される暫定的な猶予措置としては、サステナビリティ関連財務情報開示を、通期の財務開示と同時ではなく、翌年度の第2四半期決算や半期決算の財務開示と同時に行うことも許容。第2四半期決算や半期決算の義務がない企業については、決算後9ヶ月以内の開示であればよいと許容した。
さらに、今回の会合では、ISSB基準で規定されていない分野について、投資家の情報ニーズに合致する指標や開示を特定するため、企業が考慮すべきガイダンスとして、EUの法定報告基準として、EFRAGが策定している欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を明記することでも合意した。
今回のS1とS2を各国での法定報告基準とするかは、各国の規制当局の判断。IFRS財団は、今後、各国の規制当局との対話を重点的に行う。また同時に、セクター毎の推奨開示項目等のガイダンス策定やトレーニング資料の開発等も行う。特に支援が必要な地域では、キャパシティビルディング・プログラムも実施する予定。
加えてISSBは、すでに「気候関連開示事項」の次の、個別分野の開示事項の策定も見据えており、2022年12月の会合では、生物多様性・生態系、人的資本、人権、IASBとの報告との連結性の4つを優先していく方針を決めている。第2四半期には将来作業についてのパブリックコメントも募集する考え。
【参照ページ】ISSB ramps up activities to support global implementation ahead of issuing inaugural standards end Q2 2023
【参照ページ】International Sustainability Standards Board
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