【国際】バイエルとマイクロソフト、包括的農業管理ツール共同発表。食品サプライチェーンにも

　化学世界大手独バイエルとIT世界大手米マイクロソフトは3月14日、農業・食品業界向けの新たなクラウドベース型農業管理ツールを発表した。バイエルの「AgPowered Services」とマイクロソフトが新たに開発した「Microsoft Azure Data Manager for Agriculture」を組み合わせ、包括的な農業支援機能を提供する。

　バイエルとマイクロソフトは、2021年に戦略的パートナーシップを発表。共同作業を通じ、今回の発表へと漕ぎ着けた。同発表では、Microsoft Azure Data Manager for Agricultureを基盤とし、バイエルがクラウド型サービス「AgPowered Services」を新たに開発。大規模データを統合するとともに、外部システムへの接続性やデータセキュリティを確保した。

　AgPowered Servicesは、気象情報等の一般公開データ、衛星画像などのリモートセンシングデータ、バイエルのR&Dを通じて過去数十年間蓄積されてきた農学データ、バイエルの主要デジタル農業ソリューション「Climate FieldView」が活用されている20カ国以上の農地合計2億2,000万エーカー以上のデータを統合。農地作物のモニタリングツール「Bayer Imagery Insights」、成長度日（GDD）計算ツール「Bayer Growing Degree Day Calculation」、水マネジメントツール「Bayer Crop Water Use Maps」を提供する。病気、害虫、雑草の状況の追跡、精密農業の管理、作物の成長と生産パターンの特定、潜在的な収量の測定、二酸化炭素炭素排出量の追跡と把握、熱ストレスの影響、雨量、雹、気象データ等の分析ができる。

　同ツールは、農業企業だけでなく、幅広い食品企業がサプライチェーンをマネジメントするための用途も想定されている。同日から、Azure Data ManagerとAgPowered Servicesの双方の顧客を対象に先行提供を開始。後日完全な商用利用が可能となる。

　バイエルとマイクロソフトのパートナーシップでは、2030年までに作物化学の分野でデジタル対応販売を100%にする野心的な目標を掲げている。

【参照ページ】Bayer collaborates with Microsoft to unveil new cloud-based enterprise solutions, advancing innovation and transparency in the agri-food industry

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所