英気候変動シンクタンクE3Gは4月17日、日本の官民が推奨するアンモニア混焼石炭火力発電は気候変動緩和のソリューションとはならないとするレポートを発表した。日本や東南アジア諸国におけるクリーンエネルギーへの移行を弱体化させる危険性があると警鐘を鳴らした。
アンモニア混焼は、日本が以前から主張してきた「クリーンコール」技術の最新段階になっていると指摘。混焼の推進は、三菱重工業やIHI等の日本企業のために混焼装置の市場を創出し、同技術を使用する既存の石炭火力発電所の寿命延長を正当化し、保守・メンテナンスの継続契約をもたらすという利益をもたらすためのものと主張した。
また、アンモニア混焼に関する日本政府の「GXの実行に向けた基本方針」は、アンモニア原料の種別や、ライフサイクル排出量の評価方法に関する規制的枠組みを定めておらず、1.5℃目標と整合性のあるアンモニア混焼の排出削減方法についても検討されていないと言及。アンモニアのライフサイクル排出を管理するための強力な規制を設けていないことも課題視した。
さらに、アンモニア混焼では、国産アンモニアの価格が高く、日本は輸入に大きく依存する必要があり、エネルギー安全保障上のリスクがあるとした。
日本政府の対外輸出戦略では、「アジアエネルギー転換イニシアティブ(AETI)を通じ、政府はアンモニア混焼を含む新エネルギー技術の開発・輸出に2兆円を投じていいるが、日本が東南アジアでアンモニア混焼を推進することは、同地域での化石燃料の囲い込みを強める危険性があると苦言を呈した。
今回のレポートでは、アンモニア混焼は、アンモニア混焼は、効果的な排出削減技術とはみなされるべきではないと提言。ライフサイクル全体での評価の中で、アンモニア混焼型石炭火力発電の削減効果を検討すべきとした。また、国際開発金融機関の融資からも、混焼は除外されるべきとした。アンモニアの利用では、グリーンアンモニアを前提とした上で、肥料生産のカーボンニュートラル化等、最も気候変動に恩恵をもたらすことができる部門に戦略的に優先させるべきと伝えた。
【参照ページ】Challenging Japan’s promotion of ammonia co-firing for coal power generation
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