米ESG投資推進NGOのCeresは11月28日、世界の大手企業53社の森林破壊対策評価報告書を発表した。日本企業も1社対象となった。
同報告書は、大豆、木材、パーム油等の森林破壊に関する商品の調達リスクがある世界の大手企業53社の森林破壊対策について分析したもの。森林破壊対策の重要性を認識しているが、その対策が欠如していると苦言を呈した。
評価対象の企業は、アディダス、カーギル、P&G、アマゾン、ダノン、ギャップ・インク、H&M、ケロッグ、LVMHモエ・ヘネシー・ルイヴィトン、マクドナルド、ネスレ、ナイキ、ペプシコ、スターバックス、ユニリーバ等。日本企業は三菱商事が対象となった。
(出所)Ceres
同報告書では、企業の情報開示内容やCDPアンケート結果を基に分析。アカウンタビリティ・フレームワーク・イニシアチブ(AFi)の森林破壊防止に関するガイダンスに含まれる4つの指標に則して評価を行った。
- パーム油、牛(牛肉・牛皮革等)、木材(紙パルプ含む)、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆の7品目に関するすべての調達製品をカバーする森林破壊防止方針を策定しているか?
- 策定した方針がサプライチェーンに関わる全てのセグメントと地域をカバーしているか?
- 2025年までに森林破壊のないサプライチェーンを達成するという定量的かつ測定可能な目標設定がされているか?
- 2020年以前と比較した削減目標が含まれているか?
調査の結果、7品目すべてをカバーする方針を定めた企業は調査対象企業のうち18社しかなく、サプライチェーンの全てのセグメントと地域をカバーしている方針を定めた企業はアマッジ、ケリング、モンディ、スザノの4社のみだった。4つの観点全てで及第点だったのは、ケリング、ブラジルのAmaggiの2社のみだった。
また、推奨される2025年までに森林破壊ゼロを達成する目標に向けた方針を策定した企業は8社で、EUの森林破壊・森林劣化規則案が要求する2020年12月31日以降に森林伐採された土地での商品生産を禁止する期限を定めた企業は5社だった。
(出所)Ceres
EUでは2023年5月、森林破壊・森林劣化規則案が採択されており、パーム油、牛(牛肉・牛皮革等)、木材(紙パルプ含む)、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆の7品目に関しては先行して成立した。現在も、環境・人権デューデリジェンス指令(CSDDD)の制定に向けて議論が進められている。
また、国際的な低炭素推進機関投資家イニシアチブ「Investor Agenda」は2023年7月、機関投資家向けの気候アクションプラン策定ガイドライン「投資家気候アクションプラン(ICAPs)期待ラダー」を改定し森林破壊に関するガイダンスを盛り込んだ。国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)でも森林破壊の減少が焦点の1つとなっている。
【参考】【EU】森林破壊・森林劣化規則が成立。7品目にデューデリ義務。猶予期間は18ヶ月。違反時は巨額罰金も(2023年5月18日)
【参考】【EU】環境・人権デューデリ指令の立法審議が大詰め。欧州議会は欧州委より厳しい修正案採択(2023年9月18日)
【参考】【国際】Investor Agenda、投資家向け「気候アクションプラン期待ラダー」改訂。森林破壊ゼロ強化(2023年7月16日)
【参照ページ】banner
Dozens of major companies lack comprehensive deforestation policies, new Ceres analysis finds
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