米エネルギー省は12月1日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の場で、原子力発電設備容量を2050年までに世界全体で2020年比で3倍にする宣言を発表。米国を含む22ヶ国が署名した。
同宣言では、1.5℃目標を達成する上で、原子力発電が重要な役割を果たすと認識。国際開発金融機関の出資者となる各国政府に対し、エネルギーファイナンス方針に原子力を含めることを奨励することも求めにいく。
同宣言に賛同したのは、米国、ブルガリア、カナダ、チェコ、フィンランド、フランス、ガーナ、ハンガリー、日本、韓国、モルドバ、モンゴル、モロッコ、オランダ、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、ウクライナ、アラブ首長国連邦(UAE)、英国。
今回の発表は、既存の国際機関の発表に即したものとなっている。国際エネルギー機関(IEA)は9月、ネットゼロ・ロードマップ2023年版を発表し、1.5℃目標と整合する原子力発電所の計画として、2022年の設備容量417GWを2050年までに916GWに増やす必要があると提示。また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書では将来の原子力発電の目安を示していないが、世界原子力協会(WNA)とUAE原子力公社は「ネットゼロ原子力」というイニシアチブを発足し、2050年までに原子力発電設備容量を3倍にする目標を発表していた。同イニシアチブには国際原子力機関(IAEA)の「Atoms4NetZero」イニシアチブもサポートしている。
【参考】【国際】IEA、ネットゼロ・ロードマップ2023年版発行。対策基準引上げ。EVは2030年に65%(2023年9月29日)
同宣言では、小型モジュール炉(SMR)等の先進的原子炉等の開発と建設を支援することも盛り込んだ。また、全ライフサイクルにわたって使用する安全かつ確実な技術について、燃料を含むレジリエントなサプライチェーンを推進することの重要性も認識した。安全性やサステナビリティが確保される場合には、原子力発電所の寿命も適宜延長していくことも重要とした。
【参照ページ】At COP28, Countries Launch Declaration to Triple Nuclear Energy Capacity by 2050, Recognizing the Key Role of Nuclear Energy in Reaching Net Zero
【参照ページ】Net Zero Nuclear
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