化学世界大手米ダウは11月28日、カナダ・アルバータ州に世界初のカーボンニュートラル型のエチレンクラッカーおよび誘導品生産施設を建設するプロジェクト「Fort Saskatchewan Path2Zero」への投資を、取締役会が承認したと発表した。
同社は、今回のプロジェクトに政府補助金を除き、65億米ドル(約9,500億円)を投資。新たなエチレン・クラッカーの建設と、ポリエチレン年間生産能力200万tの増強、既存クラッカーのスコープ1とスコープ2でのカーボンニュートラル化に向けた改修を行う。これにより同社の世界全体でのエチレン生産能力の20%をカーボンニュートラル化するとともに、フル稼働の場合、年間10億米ドル(約1,500億円)のEBITDA成長をもたらすと予測している。
同施設は、2024年から建設開始予定。生産能力増強は段階的に行う。第1段階は2027年稼動でエチレンおよびポリエチレンの年間生産能力を約128.5万t増強し、第2段階は2029年稼動でさらに約60万t増強する。
同プロジェクトでは、化学世界大手英リンデの空気分離装置とオートサーマル改質技術を採用し、クラッカーのオフガスを水素に変換。さらに、既存設備での二酸化炭素排出量約100万tと今回の生産能力追加による排出量も、全て回収・貯留する。また同社は、二酸化炭素輸送ではウルフ・ミッドストリーム、完成品の第三者物流ではラバゴとも提携する。
施設を建設するカナダ・アルバータ州は、他地域比でコスト競争力の高い天然ガスを産出し、エチレン製造の主要原料のエタンのコスト面で有利にはたらく。フル稼働の場合、同社にとって世界で最もコスト競争力のある工場の一つになる見込み。アルバータ州政府は同プロジェクトに対し、補助金とインセンティブを提供する予定。
【参照ページ】Dow's Board of Directors Approves Final Investment Decision for Path2Zero Project
【画像】Dow
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