英金融シンクタンクNGOのプラネット・トラッカーは12月5日、海底資源採掘に関する論文を分析した報告書を発表した。深海底資源開発を中止することを呼びかけた。
今回の発表は、海底資源採掘に関する論文を分析。海底資源から採掘される鉱物団塊(ノジュール)と陸上から生産される鉱物に関して、気候への影響を比較した論文は3つしかなく、うち2つは海底資源採掘企業による支援を受けて執筆されている。
各論文毎に方法論や利用しているデータ、パラメータは異なっており、ノジュールが与える気候変動への影響は陸上の鉱物より28%大きいという結果もあれば、76%小さいという結果もあるため、海底資源会社が主張する深海底採掘は陸上の採掘より低炭素であるという主張の根拠にはならないとした。
加えて、鉱物採掘のライフサイクル全体における二酸化炭素排出量の70%以上は、鉱物を金属製品に加工するプロセスで化石燃料とエネルギーを大量に消費する冶金処理であり、気候への影響は産出される場所には左右されないとした。
また、海底採掘が行われた場所における海底での炭素隔離・貯蔵が半永久的に出来なくなる可能性を指摘。海底では炭素隔離・貯蔵が実施されるまでに膨大な時間を要するが、その後堆積物が掘り起こされること無く放置されれば、数百年に渡って貯蔵することが可能となる。
プラネット・トラッカーの試算では、海底採掘が実施された場合、採掘面積1km2あたり年間172.5tの二酸化炭素の貯蔵ができなくなる。海底採掘が許可されているクラリオン・クリッパートン海域では1km2あたり年間13.9kgの二酸化炭素しか隔離されていない。
同報告書では、金融機関に対して海底採掘を支援しないよう呼びかけた。同時に、陸上の鉱物採掘と金属生産において、再生可能エネルギーによる採掘の電化や低炭素な冶金処理の開発等を支援するよう訴えた。
【参照ページ】Deep sea mining could be worse for the climate than land ores
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