世界経済フォーラム(WEF)は1月9日、医療システムのデジタルトランスフォーメーション(DX)とAI主導の変革を推進する新たなイニシアチブ「デジタルヘルス変革イニシアチブ」を設立したと発表。同時に、報告書も公表した。
同イニシアチブは、WEFとボストンコンサルティング・グループ(BCG)が共同設立したもの。ヘルスケア分野においてデジタルツールの活用やAI等の新技術の導入と、官民の連携を促進し課題解決を目指す。
同報告書では、持続可能な医療システム実現に向けた3つの課題と解決するためのイネーブラーとしての5つの要素について概説した。1つ目の課題として、医療に関するコスト増と人材不足を挙げた。経済協力開発機構(OECD)加盟国全体で医療費はGDPを上回るペースで増加しており、医療人材は2030年までに1,000万人不足するとされている。
(出所)WEF
2つ目の課題は、慢性疾患患者の増加。2000年と2019年を比較すると、世界全体で平均寿命は5.8年増加し、不健康な期間は約1年増加した。慢性疾患の医療費は、EUや米国において医療費全体の7割から9割を占めるとされており、肥満率は2020年の14%から2035年には24%にまで増加すると予測されている。
3つ目は、医療へのアクセスの不平等。OECD全体では特に妊婦死亡率等のばらつきが大きく、米国等の高所得国であってもアフリカ系アメリカ人は白人よりも心臓病の死亡率が30%高い等の医療アクセスの格差が存在する。予防医療や検診、早期の処置が受けられない人々は重症化と負担が増えるリスクが高いとした。
これらの課題を解決するための「データ」「テクノロジーと分析」「資金調達とインセンティブ」「デジタルとオフラインのハイブリットヘルスケアの構築」「規制とポリシー」の5つの要素を概説。国や企業の事例を紹介し、各ステークホルダー毎に必要なアクションを提言した。
【参照ページ】World Economic Forum Launches New Global Initiative to Advance Digital and AI-Driven Transformation of Healthcare Systems
【参照ページ】Digital Healthcare Transformation Initiative
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