世界経済フォーラム(WEF)が主導する「CEO気候リーダーズ同盟(Alliance of CEO Climate Leaders)」は1月11日、1.5℃目標の達成に向けた施策ギャップを埋めるための10の提言を発表した。同イニシアチブには、世界大手120社以上のCEOが参画している。
今回の発表は、CEO気候リーダーズ同盟が国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)前の2023年11月に発表した同様の報告書を補完したもの。COP28での結果も受け、あらためて重要施策を整理し、提唱した。
【参考】【国際】CEO気候リーダーズ同盟、CO2の毎年7%削減提唱。バイオ、水素、バッテリー等(2023年11月12日)
同報告書は、1.5目標の達成のためには、各国が掲げる目標をベースとしても、依然として600Gtの排出量ギャップが存在しており、さらなるアクションが必要と言及。COP28では、2030年までの再生可能エネルギー3倍、エネルギー効率2倍が決まったが、それでは達成ができないとした。
今回の提言は、企業向けが5つ、政府向けが5つの構成されている。企業向けでは、
- サプライヤーのカーボンニュートラル化の加速:CDPのデータによると世界の排出量の10%強が、世界大手1,000社のサプライチェーンに含まれている可能性が高い。
- 顧客向けの選択肢強化:多くの製品で排出量の最初の50%を削減するには、価格1%未満の引上げで達成可能。
- 特にサプライチェーンの「ピンチ・ポイント」で同業他社と変革推進を協働:10社以下の企業が多くの主要市場の40%以上を支配している。
- 業界を超えたパートナーシップ(特に大規模な調達グループとの連携):世界大手1,000社の設備投資と調達の10%未満を動員すれば、気候変動資金のギャップを埋めることが可能。
- 大胆な政策を提唱・支持:InfluenceMapによると、95%のグローバル企業が実施している政策アドボカシーは、パリ協定目標と不整合もしくは不整合要素が混ざったシグナルを送っている。
政府向けの提言は、
- カーボンニュートラル目標を2050年またはそれ以前に前倒し、短期目標を引上げ、高所得国から低所得国への財政的・技術的支援を引上げる
- 実効性のあるカーボンプライシング価格をつける
- ファイナンスとインセンティブを倍増させ、公共調達をグリーンなものにする
- 許認可のリードタイム、サプライチェーンのボトルネック、技術格差、社会不信等の障害を取り除く。
- 進展が遅すぎる場合は、より抜本的な対策を検討する。例えば、特定の技術の使用禁止や、大規模な適応・除去投資等。
【参照ページ】Alliance of CEO Climate Leaders: 10 Measures to Close the Emissions Reduction Gap
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