
アップルは3月13日、自然を軸としたソリューション(NbS)での二酸化炭素除去を投資対象とする同社ファンド「Restore Fund」に、新たに同社サプライヤーのTSMC(台湾積体電路製造)と村田製作所が出資すると発表した。
同社は、2030年までにスコープ3を含めたカーボンニュートラルを目標として掲げており、75%を自力での削減、25%を二酸化炭素除去(CDR)で実現しようとしている。Restore FundはCDR策の一環。
同ファンドは2021年に発足。HSBCアセット・マネジメントと投資顧問会社Pollinationの合弁事業であるClimate Asset Managementが運営している。同ファンドの第2フェーズには、アップルは2023年に最大2億米ドルの出資を発表。財務リターンも追求しつつ、新規投資分で年間100万tの二酸化炭素除去を目標として設定した。
【参考】【国際】アップル、Restore Fundの規模倍増。生態系保全と農業に260億円。カーボンニュートラル(2023年4月11日)
今回の発表では、TSMCが最大5,000万米ドル、村田製作所が最大3,000万米ドルを出資する。リジェネラティブ農業プロジェクトと生態系の保全・回復プロジェクトに対して出資する。出資先のプロジェクトは現在選定中。アップルは2022年秋に、アップル製品のサプライヤーに対し、2030年までにスコープ1と2でカーボンニュートラル化を達成するよう要請。TSMCと村田製作所も削減が難しい分野で削減を確保するため、CDRに乗り出した形。
【参考】【国際】アップル、2030年までの再エネ100%コミットサプライヤーが300社を突破(2023年10月4日)
同ファンドが2021年に開始した第1フェーズでは、ゴールドマン・サックス、国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)と連携し、森林分野のプロジェクトに投資。南米の劣化した放牧地や農地を森林に転換し、認証を取得するアクションをサポートしている。選定されたプロジェクトは、実績ある森林管理者であるSymbiosis、BTG Pactual ティンバーランド・インベストメント・グループ、Arbaro Advisorsのもの。選定過程では高いESG基準を設定し、定期的な投資後モニタリングも実施している。その一環として、スペース・インテリジェンスやUpstream Tech等とパートナーシップを結び、iPhoneのLiDARや、人工衛星データ、生体音響モニタリング、機械学習等の革新的なツールも活用している。第1フェーズでは、2025年までに100万tの二酸化炭素を大気から除去するという同社の目標を上回る成果が得られる見込み。
【参照ページ】Apple、TSMCおよび村田製作所とともに革新的なRestore Fundを拡大
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