
国内自動車大手各社が、カーボンニュートラルに向けた内燃機関自動車及び電気自動車(EV)に関する方向性を発表。トヨタ自動車、マツダ、SUBARUの3社と、本田技研工業とで考えの相違が際立つ形となった。
トヨタ自動車、マツダ、SUBARUの3社は5月28日、電動化に適合する新たなエンジン開発によるカーボンニュートラル実現を宣言した。電気自動車(EV)転換へ舵を切るのではなく、今後も飽くまで内燃機関自動車を維持する姿勢を強調した。
3社は、内燃機関を磨き、合成燃料(eFuel)やバイオ燃料、液体水素等を活用していくと明言。またトヨタは5月27日、出光興産、ENEOS、三菱重工業とともに合成燃料(eFuel)やバイオ燃料の導入・普及に向けた協働も発表した。日本国内での導入時期は、2030年頃としており、中期を見据えても引き続き内燃機関の開発を進めていく構え。
一方、本田技研工業は5月16日、電気自動車(EV)転換に向けた方向性と財務戦略を発表。二輪・四輪等の小型モビリティの電動化にはEVが最も有効なソリューションとし、2040年にグローバルでのEV・燃料電池自動車(FCV)の販売比率を100%とする目標に変化はないと明言した。
調達・生産構造では、バッテリーを中心としたEVの垂直統合型バリューチェーンの構築により、2030年に北米で調達するバッテリーコストを現行バッテリー比20%以上削減する他、生産コストの35%削減を目指す。同年に予定しているEV生産約200万台分のを賄うバッテリーを確保する見通し。
製品ラインアップでは、主力となるグローバルEV「Honda 0シリーズ」を、2030年までに小型から中大型モデルまで、全世界で7モデル投入。モバイルパワーパックを活用した電動化展開として、2025年度中にモバイルパワーパックを4個搭載する超小型モビリティを日本へ投入する等、製品ラインアップの拡充を図る。
財務戦略では、2030年度までの10年間で、約10兆円の資源投入を計画。「一部地域では足元のEV市場の成長について減速感を指摘する声もあり」、「航空機や船舶などの大型モビリティにおいては航続距離の観点からSAFやe-fuelなどが有望視されるなど、多様なソリューションに対応していく必要があ」るとしつつ、「二輪・四輪などの小型モビリティについては、Hondaは、EVが最も有効なソリューションであるという考え方は変わらず、長期的視点で見ればEVシフトは着実に進んでいくと確信しています。足元の状況変化に捉われ過ぎることなく、2020年代後半以降に訪れるEV普及期を見据えた中長期的な視野で、強いEVブランド、事業基盤の構築が必要です。」と説明。将来成長に向けた果敢な投資と株主還元の両立を推進していく。
【参照ページ】SUBARU、トヨタ、マツダ、カーボンニュートラル実現に向け、電動化時代の新たなエンジン開発を「三社三様」で宣言
【参照ページ】出光興産、ENEOS、トヨタ自動車、三菱重工業、自動車向けカーボンニュートラル燃料の導入と普及に向けた検討を開始
【参照ページ】2024 ビジネスアップデート 説明概要
【画像】トヨタ自動車
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