
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は9月18日、TNFD最終提言発表から1周年を記念し、過去1年の進捗状況を発表した。すでに440社以上がTNFD開示の準備を開始していることを明らかにした。
【参考】【国際】TNFD、提言書最終発行。開示フレームワーク完成。TNFDアダプター募集開始(2023年9月20日)
TNFD開示の準備を進めている440社は、49カ国・地域に及び、SICSの77業種分類のうち62業種をカバーしている。上場企業の時価総額合計では6兆米ドル(約840兆円)、運用資産の総額は16兆米ドル(約2,300兆円)。「グローバルなシステム上重要な銀行(GSIB)」のうち25%が含まれている。
また、10月に開幕する国連生物多様性条約第16回カリ締約国会議(CBD COP16)の場で、第2弾のTNFDアダプターの発表も予定している。10月11日が申請締切。
現状では、セクターガイダンスの策定に力を入れており、6月に第1弾として、食品・農業、養殖、林業・製紙、石油・ガス、電気・発電、金属・鉱業、化学、バイオテクノロジー・医薬品の8つが発行。別途、金融セクターガイダンスも追加発行され、銀行、再保険会社、運用会社、開発金融機関向けの内容が記載された。2025年第1四半期には第2弾の発行を予定している。
【参考】【国際】TNFD、アダプターが半年で30%増。事業会社と金融機関向けセクターガイダンス発行も(2024年7月1日)
その他の進行中のテクニカル作業には、金融による自然関連インパクトに関する調査、海洋領域における自然関連問題の測定、企業や金融機関による自然関連リスクの評価等がある。
TNFDが提唱した「LEAP」アプローチは、すでにEU企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づく欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)で、推奨される分析手法として認識されている。また、IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)では、生物多様性、生態系、生態系サービス(BEES)に関する研究プロジェクトをTNFDとしてサポートしている。CDPとも覚書を締結し、TNFD提言を全面的に取り入れる調整を進めている。
さらに、資本市場から需要に応えるため、国連責任投資原則(PRI)、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)、国連持続可能な証券取引所イニシアチブ(SSE)等を含め、研修や教育のコンテンツ提供も進めている。特に、ケンブリッジ大学インスティテュート・フォー・サステナビリティ・リーダーシップ(CISL)の支援を受け、TNFDのテクニカルガイダンスに基づくオープンソースのトレーニング教材一式が、今年末にリリースされる予定。
データ課題への対処では、温室効果ガス排出量分野では、2021年9月にマクロン仏大統領とマイケル・ブルームバーグ国連気候変動担当特使が創設した気候データ運営委員会(CDSC)が進めるオープンデータソース「ネットゼロ・データ公共ユーティリティ(NZDPU)」が発足したことに触発され、2023年8月に自然関連データ・パブリック・ファシリティ(NDPF)のコンセプトに関するスコーピング・スタディが発表。TNDFは10月に開幕する国連生物多様性条約第16回カリ締約国会議(CBD COP16)の場で、NDPFの青写真と開発ロードマップを発表する予定。
【参考】【国際】CDP、NZDPUに気候変動データ提供へ。2024年設問票回答からXBRL対応も(2023年9月24日)
【参照ページ】TNFD marks continued global momentum and new capability-building initiatives one year after release of disclosure recommendations
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