
化学世界大手独BASFは9月12日、同社が2021年に開始した大規模な持続可能な農業実証プログラムの「グローバル・カーボンフィールド・トライアル」の結果報告書を公表した。標準的な農法と比べ、持続可能な農業では温室効果ガス排出量を最大30%削減できることが明らかとなった。
【参考】【国際】BASF、バイオ・農業・リサイクル分野でアクション続々。他社協働と出資を有効活用(2021年7月31日)
同社は、2030年までに、小麦、トウモロコシ、菜種、米、大豆を対象に作物1t当たりの温室効果ガス原単位排出量を30%削減することを目標として掲げており、持続可能な農業を推進。「気候スマート・ソリューション」として、世界の複数の農場で、様々な持続可能な農業の実践を試している。同プログラムでは、温室効果ガス排出量の削減だけでなく、収量の上昇も目標として標榜。世界全体では、人類の食料確保のためには、2050年までに農業の収量を50%引き上げなければならないと言われている。
トライアル対象となった農場は、ブラジルのとうもろこし農場、ドイツとカナダの小麦農場、スペインの菜種農場、イタリアの米農場、米国の大豆農場。今回の報告書は、2021年から2023年までの3年間での農業実証の成果をまとめたもの。
実証の結果では、持続可能な農業により、温室効果ガス排出量を30%削減することができたものの、作物、地域の条件、天候によって大きな差が出た。そのため同社は、「万能の解決策は存在しない」と結論付けている。効果を出すには、肥料の削減と適切な高性能の種子の活用の2つが重要ということもみえてきた。また、実証期間中も異常気象等があったことで土壌炭素固定が想定以上に進まなかったケースもあり、気候変動適応を同時に進める必要があることもわかった。
同社は今後も同プログラムを継続していく考え。これにより持続可能な農業の模索をさらに進める。
【参照ページ】BASF demonstrates pathways to lower emissions in agriculture, shared in first results from Global Carbon Field Trials
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