
EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は10月10日、製造物責任制度(PL制度)の対象を拡大するため、改正民事賠償責任指令を可決した。同EU指令案はすでに欧州議会でも可決されており、同EU指令が成立した。経済のサーキュラーエコノミー化やデジタル経済の進展によって、既存の規定ではカバーできなくなった分野をカバーした。
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、製造物責任の対象拡大で政治的合意。サーキュラーやデジタル化に対応(2023年12月19日)
同指令では、経済のデジタルエコノミー化を踏まえ、製造物責任上の「製品」の定義を、デジタル製造ファイルとソフトウェアにまで拡大した。但し、商業活動の範囲外で開発または提供されるフリーソフトウェアやオープンソースソフトウェアは指令の範囲から除外される。Eコマース事業者に関しても、平均的な消費者が、Eコマース事業者もしくはEコマース上での販売事業者によって提供された製品と認識する方法で販売している場合には、Eコマース事業者も欠陥製品に対する責任が追及される可能性がある。
次に、サーキュラーエコノミー化の進展により、元の製造者の管理外で製品が大幅に手が加えられた上で、市場で流通したり、再び使用されるようになった場合、同指令は、大幅な変更を行った企業または個人が、変更された製品の製造物責任を負うことになる。
EU域外のメーカーから製品を購入する場合には、欠陥製品や欠陥部品の輸入事業者、メーカーの公認販売代理人に製造物責任が課される。また、最後の手段として、フルフィルメント・サービス・プロバイダーも損害賠償責任を負う可能性がある。
損害賠償請求での立証責任に関しては、特に技術的または科学的に複雑な事案のために、製品の欠陥またはその欠陥と損害との因果関係を証明することが過度に困難な場合、裁判所は、損害賠償請求者が製品の欠陥の可能性またはその欠陥が損害の原因となる可能性が高いことのみを証明すれば損害賠償請求を認めることができるようになった。さらに消費者は、メーカー側に、損害賠償請求のための証拠へのアクセスを要求できる権利も付与されたことで、賠償請求がかなり容易になった。
同改正EU指令は、官報掲載の20日後に発効。EU加盟国は2年以内に同指令を国内法化する義務を負う。
【参照ページ】EU brings product liability rules in line with digital age and circular economy
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