
英小売大手マークス&スペンサーは10月7日、温室効果ガス排出量削減と作物の品質・収穫量向上に向け実施してきた初の完全自動栽培の実証結果を発表した。
今回の実証は、ニンジンの同社サプライヤーHuntapacの協働で実施。プロジェクト資金は、同社のカーボンニュートラル化支援基金「M&S Plan Aアクセラレーター・ファンド」が拠出した。栽培した低炭素パースニップ(白ニンジン)は11月に発売する予定。
自動栽培では、畑の形成、植付け、除草を行うロボット2台と、作物をAIでモニタリングし健康状態を維持するためのドローン2種類を導入。土壌の健康状態と温室効果ガス排出量に関する最新の科学的試験等も活用した。
生産過程では、最小限の耕起により土壌に炭素を固定。従来比で温室効果ガス排出量が少なく、空気中の二酸化窒素を除去し、光合成に植物が利用する窒素に変換する緑肥を採用した。これらにより従来のトラクター使用比でディーゼル燃料使用量を削減し、初期データでは、標準的な方法と比較し温室効果ガスを46%削減することに成功した。
また環境インパクトに加え、収穫物の品質と収量の改善も実現。2024年3月には、1871年以来イングランド地方で最も雨量の多い6ヶ月間を経験したものの、従来トラクターでは不可能だった農地で自律型ロボットによる植付けを可能にした。これにより、1等級のパースニップ(白ニンジン)収量は、Huntapacの他の畑比で16%増加した。
今回の実証では、さらに、同社が農家の生物多様性保全を支援するプログラム「Farming with Nature」で行ってきた花粉媒介者(送粉者)のリアルタイム・モニタリング等での施策を展開。昆虫モニタリング機器開発スタートアップ英AgriSound提供の送粉者モニタリング機器「Polly」等を活用した。同社は実証を踏まえ、農業が馬と鋤から機械式トラクターへと移行したかつての時代と同様に、これらの最新技術が高度技能を要する雇用を生み出し、新たな人材を惹きつける未来の農業を提示するとみている。
【参考】【イギリス】M&S、農園18ヶ所でAI搭載花粉媒介者モニタリング機器導入。テスコに続く(2023年8月3日)

【参照ページ】M&S DRIVES CARBON REDUCTIONS WITH ITS FIRST AUTONOMOUS FIELD TRIAL
【画像】Marks & Spencer
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