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【日本】農水省、政府備蓄米21万トン放出へ。3月中旬に引渡し。需給逼迫解消に苦悩

【日本】農水省、政府備蓄米21万トン放出へ。3月中旬に引渡し。需給逼迫解消に苦悩 1

 農林水産省は2月14日、政府備蓄米を21万t市場に放出すると発表した。米流通は民間流通が基本のため、政府備蓄米の主食用を放出は相場に悪影響を与えかねないとしていた立場を転換させた。

【参考】【日本】米価格、7月は前年同月比で10%以上上昇。農水省は政府備蓄米放出に慎重姿勢(2024年9月1日)

 同省は2014年3月以降、米の流通に係る需給・価格情報、販売進捗・在庫情報等の細かい統計を公表している。さらに2018年産からは、生産者や集荷業者・団体の主体的な経営判断や販売戦略に基づき、需要に応じた米生産ができるよう環境整備を進めることを米政策の一環として掲げている。

 米の価格では、小売事業者向けが2022年11月から上昇を続けている、2025月1月には、小売事業者向けで前年同月比164.8%増。中食・外食向けでも同138.1%増となっている。農林水産省は2024年9月には、新米の流通が始まれば、需給は改善するとの見解も述べていたが、結果として需給が逼迫したままで、価格はさらに上昇を継続していた。

 同省は今回、「流通が滞って、スタックしている状況を何としても改善したい」と表明。流通が大幅に混乱しており、需給が当初想定とは違う動きをしていることを認めた形。さらに今後必要であれば、21万tを超えて政府備蓄米を放出していく考えも示した。

 政府備蓄米制度は、1993年に冷夏により戦後最悪の米の不作が発生する「平成の米騒動」が起こったことを背景に、1995年に食糧管理法が廃止されて新たに制定された「食糧法」に基づく制度として開始された。10年に一度の不作適正備蓄水準を100万t程度として運用しており、古くなった備蓄米の処分では、市場相場への影響を避けるため、5年程度備蓄したうえで、通常は飼料用途として販売することとしている。

 2024年6月末時点の状況では、政府備蓄米の在庫量は91万t。しかしそのうち21万tについては、実際には備蓄されておらず行方不明になっている模様で、農林水産省も原因がわからず調査を進めている。

 今回の放出では、第1回目のロットは15万tで、大手に集荷業者が1ヶ月に販売する量の合計に相当する。このうち10万tは令和6年産米、5万tを令和5年産米とする。令和5年産米を含めた理由は、より低価格での市場流通が期待できるためとした。放出価格は、法令に基づき適正にするとしつつ、公言は避けた。また放出ルートは、申込数量は特定の者による買占めや、応札価格の高騰が起きないよう、集荷実績に基づき上限を設ける。

 買い戻しに関しては、原則1年後に市場から政府備蓄米を購入するとしつつ、令和7年産米の動向も見据えながら進めるため、1年以内に買い戻しにはこだわらない。

 今後のスケジュールについては、2月17日から関係者へ説明し、買受資格に係る審査の受付を開始。入札公告は3月初めを予定。1週間後に入札を実施し、入札結果は公表する。3月半ばには備蓄米の引渡しを開始する。売渡し先には、隔週で、販売数量、金額等の販売状況を同省に報告させ、同省がとりまとめて公表する。

 米価が上がっている背景には、2024年の異常気象による収量低下、農業資材の高騰、小麦の国際価格が高騰したことで米食の需要が増加したこと、新型コロナウイルス・パンデミックからの国内需要の回復や外国人観光客が増えたことによる需要の増加が挙げられている。さらに、米消費における外食・中食の比率が増えたことで、大規模生産者が農協や全国主食集荷協同組合連合会(全集連)を介さずに、直接販売する割合が増えていることも影響していると言われている。

【参照ページ】江藤農林水産大臣記者会見概要

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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