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【国際】WRI、COP29の資金協力3000億ドル、官民合計1.3兆ドル目標で達成道筋提示。実現可能

 国際環境NGO世界資源研究所(WRI)は2月20日、国連気候変動枠組条約第29回バクー締約国会議(COP29)で合意した2035年気候変動資金協力目標「新規合同数値目標(NCQG)」に関し、発展途上国資金協力年間3000億米ドルと官民合計で年1.3兆米ドルの資金動員に向けた達成道筋を提言した。

 気候ファイナンスに関するハイレベル専門家グループ(IHLEG)は、中国を除く発展途上国が気候変動及び自然関連の目標を達成するには、2030年までに年間2兆7,000億米ドルの資金が必要と見積もっている。このうち1.3兆米ドルがCOP29で合意した海外からの投資となり、残りの1.4兆米ドルが国内調達となる。発展途上国資金協力3,000億米ドルはそのためのシードマネーとなる。

 WRIは、2022年にすでに先進国からの発展途上国資金協力は1,160億米ドルに達しており、当初目標だった1,000億米ドルを超えていることに着目。以前からカウントされている二国間資金、国際開発金融機関や国際気候変動関連基金を経由した多国間資金、公的資金によって動員される民間資金等に加え、今後は国際税や、国際通貨基金(IMF)の「特別引出権(SDR)」を再チャネル化したもの等、気候変動資金の「代替的な資金源」をカウントしていく可能性もあるとした。

 まず、2022年の資金協力のうち、多国間資金のチャネルが510億米ドルを占めており、COP29では、国際開発金融機関は2030年までに中低所得国に年間で1,200億米ドルの気候変動資金を提供することをすでにコミットしている。IHLEGは、国際発金融機関が、10年間で600億米ドルの増資を行えば、気候・自然関連ファイナンスは年間約2,400億米ドルになると試算している。

 また、以前は、国際発金融機関の気候変動資金の全てがパリ協定目標達成に貢献しているとみなされず、総額の70%しか集計対象となっていなかった。しかし、新たなCDQGでは、低・中所得国に流れるすべての気候変動資金がカウントされる可能性があるという。そのためすでに公約済みの1,200億米ドル目標が達成されれば、総額3,000億米ドルのうち40%がカバーされることになる。さらにIHLEGの試算通り2,400億米ドルを達成できれば、80%をカバーすることになる。

 さらに国際開発金融機関は、融資保証や保険を通じて、民間ファイナンスを誘引することでき、この金額は、2022年の約150億米ドルから2030年までに650億米ドルに増えると見込まれている。650億米ドルという金額は、1米ドルの支出につき54セントの民間資金を活用し、動員比率が1:0.54となる。実際に、2023年には支出1米ドルにつき38セントを動員している。2030年までに2,400億ドルの気候変動ファイナンスを実現した場合、年間910億ドルから1,300億米ドルの民間ファイナンスを動員することができる見立てとなる。

 もう一つの国際気候変動関連基金では、緑の気候基金(GCF)や適応基金(AF)等があるが、ファイナンス規模は小さく、2021年の42億米ドルから2022年には34億米ドル(3%)に減少しているほど。但し、他の資金源よりもファイナンス条件がよく、2016年から2022年にかけて、気候変動基金からの資金の54%は無償資金。これは、無償資金割合が、二国間資金で39%、国際発金融機関が9%であることと比べると非常に高い。COP29では、先進国からこれらの基金への拠出額を年までに3倍以上にすることに合意されており、実現すれば2030年までに毎年約100億米ドルとなる。

 一方、二国間資金については、政治的な逆風もあり、大幅な引上げが難しいと見立ててている。2022年には、二国間資金は410億米ドルで全体の35%を占めており、2013年の225億米ドルが大きく増加。また、IHLEGは、2035年までにさらに倍増すれば、二国間資金は約800億米ドルに達するとしているが、現実には厳しい状況にある。そのため、多国間資金をいかに引き上げられるかがカギとなる。

 二国間資金によって動員される民間資金については、各国政府は目標を現段階では表明していない。2022年には、先進国は発展途上国での気候変動対策のために92億米ドルの民間資金を動員したと報告しており、同年の二国間資金が410億米ドルあったことを踏まえると、支出1米ドル当たり22セントの動員比率となる。仮に二国間資金が年率2%の上昇で、2035年に530億米ドルに達すると仮定すると、動員比率をかけ合わせると2035年までに117億米ドルになる計算となる。二国間資金が2035年までに倍増して800億ドルになれば、同じ動員率で176億米ドルの民間資金が発生する。

 代替資金源として新たに考慮されることとなった国際税や連帯賦課金では、温室効果ガスの排出量に応じて航空会社に適用される国際航空便への課税や 富裕税を提案する専門家もいる。IMFの試算によると、国際線の排出量に炭素税を課せば、年間2,000億ドルもの資金を創出できるという。

 同様にIMFの特別引出権(SDR)に関しても、2022年に、経済主要国は、特別引出権を発展途上国に再配分することに合意しており、これまでに約400億米ドルの資金が「レジリエンス・サステナビリティ信託」を通じて分配され、主に低所得国や脆弱な中所得国の気候変動リスクへの対策に向けられている。すでに各国政府は、特別引出権を国際開発金融機関を通じて再分配し、ハイブリッド資本として利用することにも合意している。加えて、追加的な特別引出権の再配分に合意することも提案されているが、現時点では各国政府の合意形成が難しい状況。

 続いて、官民1.3兆米ドルの資金動員目標に関しては、IHLEGの最新報告書では、約半分の6,500億米ドルは民間資金、残りの半分が国際的な公的資金を経由して動員されることが想定されている。発展途上国向けの民間資金を大幅に増やすには、高所得国、中所得国、低所得国のいずれもが努力する必要があり、野心的な政府目標と移行計画(トランジションプラン)の設定、投資環境の強化、投資機会の開拓、リスク認識の転換が不可欠とした。

【参照ページ】How to Reach $300 Billion — and the Full $1.3 Trillion — Under the New Climate Finance Goal

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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