
科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)は3月18日、現在進めている企業版ネットゼロ・スタンダード改訂で、第2版の初期草案を公表した。6月1日までパブリックコメントを募集する。
今回の改訂では、まず、目標設定において、スコープ1とスコープ2の排出量目標を分離し、各々での目標設定が必要となる。スコープ1については、重工業等の排出量が多いセクターに対しては、セクター別脱炭素化アプローチ(SDA)の使用が引き続き可能。また、総量削減アプローチ(ACA)の目標設定方法では、2つのオプションが用意される。
1つ目のオプションは、すべての企業を対象に、2050年までにネットゼロに達する直線的な経路を採用する手法。2つ目のオプションは、過去の排出量を考慮し、基準年からの排出量の変化に基づいて、各企業の削減率を決定する手法。
スコープ2に関しては、2040年までのカーボンニュートラル化が必須となる。目標設定手法では、ロケーションベースのスコープ2を削減する目標および、マーケットベースのスコープ2排出量を削減する目標またはゼロカーボン電力目標のいずれかの両方が必要となる。ゼロカーボン電力については、「技術中立」の観点から、再生可能エネルギーと原子力発電を同等に「ゼロカーボン電力」として扱う形に変更し、現行の「再生可能エネルギー電力目標」の概念は廃止される。
ゼロカーボン電力調達については、制度的に可能な場合、同時性(時間一致性)、地理的相関性(空間的一致性)を義務付ける。但し、ゼロエミッション電源を系統制約上確保できない企業に関しては、期限付きの代替策として、他の系統のゼロカーボン電源からの環境価値調達も可能となる。
スコープ3については、各社が最大の課題として認識していることも踏まえ、先進国の企業と発展途上国の企業で基準を分ける。まず、大企業と先進国・新興国の中堅企業は「カテゴリーA」とし、自社の排出量総量に占めるスコープ3割合に関わらず、スコープ3の目標を設定することを義務化。低所得国の中堅企業と中小企業は「カテゴリーB」とし、スコープ3目標の設定が任意となる。
またスコープ3のカテゴリーに関しては、現行の1.2版では、全てのスコープ3排出量を一律に扱うパーセンテージ基準が採用されているが(短期目標では最低67%、長期目標では最低90%)、2版では、原単位排出量の大きさと、最も大きな影響力を持つカテゴリーを考慮してスコープ3排出量を検討することが求められる。
加えて、スコープ3の目標設定では、排出量削減目標だけでなく、「整合目標(Alignment Target)」の概念を新たに用意。ネットゼロに整合するサプライヤーや活動に割り当てられた調達量の割合、もしくはネットゼロに整合する製品やサービスから得られた収益の割合のKPI目標を選ぶことも可能となる。一方、一次サプライヤーへのエンゲージメント目標の設定は必須となる。
スコープ3削減の手法として検討されてきた「カーボンインセット」の在り方については、今回の草案では明記されていないが、スコープ3については、直接トレーサビリティが確保できる手法を採用するよう明記。完全なトレーサビリティが困難な分野については、前提条件や説明責任を課した上で、「間接(インダイレクト)」手法も暫定的に容認する。
自力削減でもなお残る「残余排出量(Residual Emissions)」については、1.2版にも採用されている「中和(ニュートラライゼーション)」が引き続き必須。その際、温室効果ガスを永久的に除去・貯蔵できる「除去・吸収型」で、かつ信頼性の高いカーボンオフセットのみが認められる。さらに、ネットゼロ達成年での残余排出量の相殺だけでなく、短期目標までの期間についても残余排出量の相殺(オフセット)に関する目標設定も必須としたい考えだが、まだ検討中のステータス。
ビヨンド・バリューチェーン緩和(BVCM)については、必須とせず任意のままとするが、BVCM目標を設定している企業は、公式にBVCM採用企業として認定される制度も設ける。
2版では、SBTi承認後の進捗開示義務も課す。進捗開示については各目標でのパーセントで示すことが求められる。目標の改訂時には、前回目標の達成状況を明確に評価した上で、達成状況に応じて次回の目標を設定することも必須となる。これらの状況に応じたSBTi承認企業の「訴求(クレーム)」についても、明確にルールが設けられている。
目標申請前の「コミットメント」状態の企業に関しては、目標設定の期限を、カテゴリーA企業はコミットメントから12ヶ月以内、カテゴリーB企業はコミットメントから24ヶ月以内に設定。また、目標承認から12ヶ月以内に気候移行計画(トランジションプラン)の設定を義務付ける案も盛り込んでいる。
【参照ページ】SBTi launches draft Corporate Net-Zero Standard V2 for consultation
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