
ブリヂストンは3月7日、実験室規模でタイヤ摩耗粉の生成・捕集が可能な試験機と、実際に車両を走行させてタイヤ・路面摩耗粉塵(TRWP)を捕集する方法を開発したと発表した。
今回の開発に向けては、同社はまず、上島製作所とともに、実験室規模でタイヤと同成分のゴムサンプルから摩耗粉を生成・捕集可能な「FPS(Field Performance Simulation)摩耗試験機 摩耗粉捕集モデル」を共同開発。上島製作所がすでに販売中の「FPS 摩耗試験機」に静電気を利用した捕集機を実装することで 1μm以上の摩耗粉を捕集可能にした。
タイヤ・路面摩耗粉塵(TRWP)では、粒径分布、飛散状況、環境影響の把握、効率的な捕集法の開発等の研究が進められている。しかし、実車走行や実タイヤを使用した捕集法では、タイヤ製造や車両の準備、試験場所の環境整備等、コストや時間を要するという課題があった。
そこで両社は、TRWPの構成要素の1つであるタイヤ摩耗粉に焦点を当て、実車を使った捕集法に近い条件でタイヤと同成分のゴムサンプルから摩耗粉を生成・捕集可能な「FPS 摩耗試験機 摩耗粉捕集モデル」を共同開発。実タイヤの生産設備がなくても低コスト・短時間で実験室規模での摩耗粉の評価・捕集ができ、摩耗から捕集まで試験機内で完結させることで、分析の障害となる異物混入を極力抑えた摩耗粉評価を可能にした。
またブリヂストンは、TRWPの環境影響把握に向け、独自の実車捕集法も開発。具体的には、TRWP等の粒子の飛散状況を高速度カメラとレーザー光を組み合わせることで可視化し、その結果を基にTRWP を効率的に捕集可能なタイヤ全体を覆う装置を開発した。開発時には、自動運転により一定の走行状態を保持するとともに、回生ブレーキを使う電気自動車(EV)を使用することで排気粉塵とブレーキ粉塵の影響を排除した状態でのTRWPの捕集もできるようにした。
同社はこれまで、持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)の「タイヤ産業プロジェクト(TIP)」を通じ、TRWP の物理的・化学的特性とその影響の研究を進めてきた。今回開発した捕集法で捕集したTRWPを活用し、環境影響の把握を加速させる。
【参考】【国際】WBCSD、タイヤ産業プロジェクトの2020年環境報告書発行。新たなKPIも設定へ(2022年1月4日)
【参照ページ】タイヤ・路面摩耗粉じんの研究加速に向け、実験室規模の摩耗試験機を共同開発
【参照ページ】タイヤ・路面摩耗粉じんの環境影響把握に向けた独自の実車捕集法を開発
【画像】ブリヂストン
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