
オランダ環境NGOのFollow Thisは4月10日、2016年以降続けてきた石油・ガス大手に対する株主提案を、2025年度は断念したと発表した。機関投資家の支持が思うように集まらないと判断し、当面、他の機関投資家を多く巻き込んでいくための戦略構築に注力する。
Follow Thisは、エクソンモービル、シェル、bp、シェブロン等をターゲットとし、温室効果ガス排出量スコープ3削減や、気候変動リスク管理の強化、石油・ガス事業の転換等を求める株主提案を実施してきた。提案された株主提案は、賛成票を過半数集めることができないまでも、一定の賛成票を集めることで、当該企業へのプレッシャーを与える存在となった。
しかし、2025年に関しては、特に米国では、機関投資家が政治情勢の変化と株主攻撃という課題に直面し、実際に積極的に気候変動関連で行動する機関投資家も多数提訴されていることから、年金基金等の機関投資家から多くの支持を得られないと判断した。
さらに、Follow This自体も裁判を抱える状況となっている。エクソンモービルは2024年1月、同社の株主であるFollow This及びアルジュナ・キャピタルを、テキサス州ダラスの第5巡回区連邦裁判所に提訴。同事案では、エクソンモービルが、株主提案を無効とするために、米証券取引委員会(SEC)を通じた通常の手続ではなく、裁判所に提訴したことが話題を呼んでおり、機関投資家の間では、判決如何では、株主の権利が制限されるおそれもあると懸念を抱いている。機関投資家は、同裁判の決着がつくまで慎重な姿勢に転するという向きもあり、そのことも今回の株主提案中止に影響を与えた。
Follow Thisは今回、石油・ガス大手の事業転換を促す上で、投資家との協調は引き続き重要とも表明した。気候変動が与える機関投資家への財務影響について、機関投資家の間で理解が深まってきていることに期待を表明。年金基金の加入者の意識を高めていくことが、株主提案に対する支持を取り付けていくことにもつながるという見立ても伝えている。
Follow Thisは、株主提案は中止したものの、取締役選任決議への反対キャンペーンについては継続している。特に対象となっているのはbp。bpは、2022年に、気候変動戦略に関して株主総会で株主の意向を問う「Say on Climate」を議案としていたが、3月に石油・ガスの上流開発への投資強化に転じた際には、株主総会での議案化をしなかった。Follow Thisは、このことは株主軽視に該当するとし、取締役会議長への反対票を投じるようパブリックキャペーンを展開。反対票の目的としては、取締役会議長の辞任そのものではなく、議長に株主を重視するよう促すことにあると伝えた。
【参考】【イギリス】bp、石油・ガス上流開発投資を強化。再エネ投資を抑制。資産売却も検討(2025年3月5日)
またFollow Thisは、bpの石油・ガス開発強化の判断には、アクティビスト投資家のエリオット・マネジメントが提案をしかけていた動きがあったことにも触れ、むしろ年金基金等が団結して、このような動きに対抗すべきと呼びかけている。
同様に、再生可能エネルギーへの設備投資比率を引き下げたシェルに対しても、機関投資家が同社に翻意を促すよう訴えている。
【参照ページ】Follow This pauses climate resolutions for Big Oil in 2025 amid investor hesitation
【参照ページ】Activist backed by 17% of BP’s shareholders calls for vote against chair
【参照ページ】BP Denies Shareholders a Vote on Its Strategy Reset
【参照ページ】Shell’s focus on fossil fuels threatens future viability amid declining demand
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