
米国立衛生研究所(NIH)は4月29日、創薬治験の前臨床医薬品試験で、動物実験を減らし、AI等を活用したヒトベースでの実験に移行していく政策を発表した。
米国では、2022年にFDA近代化法2.0が成立し、治験薬申請で動物実験代替法(細胞ベースアッセイ、コンピューターモデル等)を採用できるようにするとともに、バイオシミラー生物製剤許可申請(BLA)での動物実験の使用要件を削除している。
第2次トランプ政権でのFDAは、さらに動物実験の削減を推し進めるため、4月に新たな政策を発表。動物福祉と動物実験の有効性の双方の観点から、動物実験を減らしていくべきとしている。動物福祉に関しては、民主・共和両党の成人の85%以上が、動物実験を廃止し、より近代的な方法を採用すべきであると回答していると説明。動物実験の有効性では、動物実験では安全で有効であると思われた医薬品の90%以上が、ヒトに対しては主に安全性や有効性の問題からFDAの承認を得られないと伝えた。
動物実験に替わる手法としては、臓器オンチップシステム、計算モデリング、高度なin vitroアッセイ等の科学的に検証された新しいアプローチ手法(NAM)が注目を集めており、FDAの審査でもNAMに移行していく。具体的には、モノクローナル抗体(mAb)から開始し、その後、他の生物学的分子、そして最終的には新規化学物質や医療対策に拡大していく予定。また、有効性を判断するために、規制基準が同等で、すでにヒトでの試験が行われている他国の既存の実臨床安全性データの利用も開始する。
NIHも今回、動物実験を代替する新たなアプローチとして、オルガノイドや組織チップ等のin vitroシステムを用い、ヒトの疾病をモデル化し、ヒトの多様性や患者固有の特徴を捉えることができることや、複雑な生物学的ヒトシステム、疾患経路、薬物相互作用をシミュレートする計算モデル、コミュニティや集団レベルでヒトの健康状態を研究するための実データ等を紹介した。
さらにNIHは、革新的なヒトベースの科学を統合することを目的とし、ディレクター室の中に、研究イノベーション・検証・採用(ORIVA)室を設置すると表明。NIHの生物医学研究ポートフォリオ全体にわたって、動物実験以外のアプローチを開発、検証、拡大するための施策を調整しつつ、公衆衛生保護のための省庁間調整と規制変更のハブとしての役割を担うとした。
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