
EUの欧州銀行監督局(EBA)は5月22日、欧州委員会が提案したオムニバス法案の一環として、気候変動開示ルール「ピラー3(第3の柱)開示」を定めた第3次自己資本要求規則(CRR3)の改正に関するパブリックコメント募集を開始した。締切は8月22日。
【参考】【EU】欧州委、オムニバス法案概要発表。CSRD、CSDDD、タクソノミー等で中堅中小企業負担軽減(2025年2月27日)
EUでは2024年5月。2010年11月にバーゼル銀行監督委員会(BCBS)で採択された「バーゼル3」に基づく第3の柱の一環として、第3次自己資本要求規則(CRR3)を制定。バーゼル3の内容を最終化するとともに、銀行のESGリスクマネジメントや第三国銀行の支店の監督等に関するルールも規定している。
CRR3では、大手上場銀行のみを対象とし、ESGリスクとして、環境リスク(気候変動の移行リスクと物理的リスクを含む)、社会リスク、ガバナンスリスクを定量化し、リスクモデルに反映させることを義務化。自己資本の充実度を評価する「内部資本適正評価プロセス(ICAAP)」にも、ESGリスクを反映させることとなった。EU環境タクソノミーに基づくグリーン資産比率(GAR)も開示が義務化。ESGリスクに関するガバナンスの強化も規定された。
今回の改正では、まず、GAR開示に関し、EUタクソノミー規則に基づく開示との冗長性を軽減するため、報告フォーマットの一部を削除した。さらに、GARの分母から、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の非対象企業を除外することを可能とし、さらにGARの算定に大きな影響を与えない軽微なエクスポージャーについても除外を容認した。GARの開示頻度も、半期から年次へと緩和する。加えて、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づく欧州サステナビリティ開示基準(ESRS)との整合性も整理され、重複開示を軽減する。
それに伴い、大手上場銀行向けのフォーマットも微修正される。但し、新フォーマットへの移行に備えるため、2026年12月31日までGARとEUタクソノミー規則に基づく報告を免除。GARとは別途定義されている「貸出タクソノミー適合比率(BTAR)」についても、任意のままとした。
その代わりに、ESGリスクを、環境、社会、ガバナンスの3つのリスクに分けて報告することが必須となる。NACEコード(産業分類)を用いた化石燃料セクターへのエクスポージャーの開示と、ESGリスクに関する事業戦略、プロセス、ガバナンス、リスクマネジメントへの統合状況に関する内容も報告義務対象となる。
一方、これまで規制対象外だった大手非上場銀行、SNCIs(小規模・非複雑機関)、その他上場銀行、大手子会社にも、2026年12月31日以降の報告から、開示義務が適用される。但し、その他上場銀行と大手子会社には、簡素化されたフォーマットを適用し、大手非上場銀行とSNCIsにはさらに簡素化されたフォーマットが用意される。GAR開示も免除される。
今回の改正骨子には、他に、株式エクスポージャーに関する詳細開示(分類、評価、リスクウェイト等)や、銀行規制の対象外となる金融実体(シャドーバンキング)へのエクスポージャーの報告義務も盛り込まれている。
【参照ページ】EBA launches consultation on amended disclosure requirements for ESG risks, equity exposures and aggregate exposure to shadow banking entities
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