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欧州委員会は2月26日、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)、EUタクソノミー規則、炭素国境調整メカニズム(CBAM)を主に簡素化を実現する「オムニバス法案」の概要を発表した。今後、EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会との協議に入る。
【参考】【EU】欧州委諮問機関PSF、EUタクソノミー開示で簡素化内容勧告。オムニバス法案とも関連(2025年2月6日) 【参考】【EU】欧州委、「競争力コンパス」発表。CSRD、CSDDD、タクソノミー規則等も簡素化へ(2025年1月30日) 【参考】【EU】欧州委、オムニバス法案の方向性公表へ。中堅・中小企業負担をさらに軽減。焦点はスケジュール(2025年1月29日)
欧州委員会は、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長の2期目の政策の中で「イノベーション」「脱炭素」「経済安全保障」の3つの柱を掲げ、法規制の「簡素化」を重要政策の一つとして掲げている。すでに、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)、EUタクソノミー規則、炭素国境調整メカニズム(CBAM)の複雑性を簡素化することで、企業の事務負担を25%以上、中小企業の事務負担を35%以上削減する目標を設定済み。
今回の改正では、まず、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)について、比較的規模の小さい企業を義務報告対象から除外し、それによりサプライチェーンの中小企業の報告負担を軽減する。
- CSRDの義務対象企業を、従業員1,000人超、売上5,000万ユーロ超、または総資産2,500万ユーロ超の企業とし、従業員基準を500人超から1,000人超に引き上げる。これにより義務対象企業数が約80%減少する。
- CSRDの義務対象から外れた企業には、中小企業向け基準(VSME)に基づく任意の報告を推奨する。これにより、大企業に対するサステナビリティ報告義務が、バリューチェーンの中小企業に負担をかけないようにする。
- CSRDに基づく策定することになっていたセクター別欧州サステナビリティ報告基準(セクター別ESRS)の策定を廃止する。
- 欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)を改訂し、データポイントの大幅な削減、不明確とされる規定の明確化、他のEU法との整合性確保を実現する。
- CSRDに基づく報告の監査を、限定的保証のままとし、合理的保証に引き上げないことを明確化する。
- CSRDの義務対象企業について、2026年または2027年から報告義務が発生する企業の報告開始時期を2028年に2年延期する。
次に、…
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