
国連防災機関(UNDRR)は5月27日、「防災世界評価報告書(GAR)」の2025年版を公表した。災害の総合コストが2023年に2.3兆米ドル(約330兆円)にまで膨れ上がっていることがわかった。
同報告書によると、災害による直接的なコストは2023年に2,020億米ドルだったが、間接的な波及コストや生態系コストを考慮すると、真のコストは2.3兆米ドルを超えた。真のコストは2020年比で約10倍にまで増加した。
(出所)UNDRR
直接的コストのうち、95%以上は、地震、洪水、暴風雨、旱魃、熱波の「5大災害」が占めている。また社会がグローバル化することに伴い、気候変動、都市化、生態系喪失、脆弱なガバナンスの課題が、複雑に災害リスクを増大させていることもわかった。特に近年、気候変動がコスト増の大きな要因となっている。
さらに、災害リスクが過小評価されている例も多く、コロンビアの局地的洪水は累積的な経済コストが大きい。また、カリブ海のサルガッソ海藻の大量発生や都市の熱波、複合災害に関しては十分な評価が行われていないことも明らかになった。
コストの規模では、インフラの物理的損失だけで年間3,140億米ドルに達しており、GDP換算で1.2%にも及んでいる。さらに、脆弱な国では災害一件でGDPの数十%を失う場合もあり、対策を講じない不作為リスクも大きくなっている。それに対し、投資対効果は、投資1米ドルに対し、2米ドルから4米ドルの便益(防災、健康、教育、社会資本等)が得られることも示した。
対策に向けては、「仙台防災枠組2015-2030」の効果もあり、防災戦略を持つ国の割合は、2015年の55%から2023年には87%に増えている。一方、それでも災害による総合コストが膨らみ続けている背景には、戦略を実現する資金動員が不足していることが挙げられる。同報告書では、民間投資と金融の役割に大きな期待を寄せており、リスク軽減型インフラ基金、気候債券、気象指標付き保険の活用や、国際開発金融機関や開発銀行による信用保証を拡大することを訴えた。
【参照ページ】From billions to trillions: Flagship UN report reveals true cost of disasters and how to reduce them
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