
欧州中央銀行(ECB)は6月12日、ECBとしての気候関連財務開示報告書の2025年版を公表した。同報告書の発行は今回が3回目。今回から自然資本に関する指標も追加された。
同報告書では、ユーロ通貨圏の中央銀行政策ポートフォリオ、ECBの外貨準備、ECBの非中央銀行政策ポートフォリオ(職員年金基金と自己資本ポートフォリオ)の温室効果ガス排出量と気候リスク・エクスポージャー状況が掲載されている。
ユーロ通貨圏の金融政策ポートフォリオとECBの外貨準備に関連する温室効果ガス排出量は、総量で減少を続け、ほとんどのアセットクラスで原単位排出量も減少した。ユーロシステムのバランスシートを対象とした気候ストレステストの最新版では、社債が依然として気候リスクに最も曝露されているアセットクラスだった。
また、リターンを気候パフォーマンスが優れた発行体へ傾斜再投資する方針の進捗状況も確認された。2023年半ば以降、再投資のペースは鈍化したが、2021年から2024年末までの排出総量削減分のうち、約25%は傾斜再投資分によるものとなった。ECB理事会は2024年、資産購入プログラム(APP)とパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で、企業ポートフォリオの総保有資産の原単位排出量を平均で年7%削減する中間目標も設定済み。
ECBの自己資金ポートフォリオにおけるグリーンボンドの割合は、前年の20%から28%に増加。2025年までに32%に引き上げることを目指している。さらに、ECBは自己資金ポートフォリオの一部の資金を、EUのパリ協定に沿ったベンチマークを追跡するETFに投資するオペレーションも開始済み。
ECBの職員年金基金では、2024年に企業投資のカーボンフットプリントが20%減少。これにより、同ポートフォリオでは中間目標の達成に向け進捗が順調に推移している。但し、データカバー範囲や比較可能性に関する課題が残っており、特に発行体のスコープ3排出量の定義不一致や、カバードボンド等の一部のアセットクラスでのデータ不足に課題感を示した。
新たに追加した自然指標では、ユーロシステムの金融政策による社債保有額の約30%が、食品、不動産、電力・水等の3つに集中。ECBの自己資金ポートフォリオと職員年金基金では、自然への依存またはインパクトを受けるセクターへの企業投資の割合は異なり、株式上場投資信託(ETF)が最も高い40%を占めていた。
【参照ページ】ECB adds indicator of nature loss in climate-related financial disclosures as portfolio emissions continue to decline
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